1.しこり騒動(2003年2月18日頃)

「乳がんの自己検診方法」というのをご存知だろうか?

目安は「毎月1回、生理後5〜10日後」とされている。だが、超心配性の私は、1 年に1回の人間ドックでの検診の他に、自分でよくチェックしている。そんなわけで、この日も何気なく右胸を見た。

…??

何となく乳頭の真下(乳首と皮膚の境目)あたりが、ボコボコしている。

だが、触っ た感じはそんなに違和感はない。でも、左胸と見比べると、微妙に違う感じがする。

…まあ、別にどうということはないだろう。

そう思ったが翌日、やはり気になって、お風呂場で石鹸を付けて、かなり丁寧に調べてみた。

かなり小さいが、なにかしこりらしいクリクリした円盤状のものがある。何度も確かめたが、やはり間違いない…。

…しこり??

一瞬、血の気が引いた…。大抵、乳ガンの始まりは、しこりの発見からである。

ただ、 どこかで「乳ガンは、1〜2ヶ月様子を見ても変化はない。」とあったのを思い出し、 しばらく様子を見ることにした。

そうは言っても、しこりが突然消滅することはなく、何度触ってみても、やはり存在 する。

…もしかして、…乳ガン??

だが、このことは、誰にも打ち明ける気にならなかった。夫・みのむちくんにもである。

なぜならみのむちくんは、次回の診察日(半年おきの経過観察のため)があと1ヵ月半後 であることを言うと、

「これでもし、(筋腫が)5センチぐらい大きくなってたら、 緊急手術になるんだろうね。」などと、気楽にいう人間である。

冗談じゃない!!

「大丈夫だよ。そんなことないって!」とフォローしたが、もう遅い!!!

みのむちくんは軽い気持ちで言ったかもしれないが、私は本気で心配する性格であ る。

だから、下手に話して、冗談でも「乳ガンかもしれないよ?」とは、絶対言われたくなかった。

子宮筋腫騒動の時は、毎日が不安で眠れなくなったが、この時はいくら寝ても眠いという日が2〜3日続いた。

変な話だが、内臓や細胞が異常と言われても、自覚 症状がない限り、あまりピンと来ないと思う。

だが、胸のしこりはハッキリと自覚出来るので、その時の私は、眠ることで現実逃避したかったらしい。

でも、いつまでも現実逃避ばかりしていられない。

そう思って週末の21日、私は勇気を出して、乳がんのことを調べることにした。

一口に胸の しこりとは言っても、必ずしも悪性腫瘍ということはなく、ほとんど(8,90%)は良性らし い。

そして、悪性のしこりは、触った感じがザラザラして、違和感があり、周囲との 境界がハッキリしていないという。人間ドックでも「触った感じがザラザラしてるのは、ガンの場合が多いです。」と教えてもらったこともあるし。

私の胸のしこりに、こういう特徴は当てはならない。

さらに調べると、自分の症状にそっくりの「乳管内乳頭腫」(乳頭の下にしこりが出 来るが、あまり違和感もなく、気付かない場合が多い)という良性疾患を発見した。

ただ、これらはあくまで素人判断で、必ずしもそうだとも限らない。

こうして一人で悶々と悩んでいると、段々しんどくなってきた…。またまた子宮筋腫の時と同じく、私の超心配性ぶりが、思う存分発揮されている。(苦笑)

やはり病院に行って、検査を受けることを考え始めていた。

…行けて、来週の木曜日か?

ただ、この頃からしこりが日ごとに厚みがなくなっていき、心なしか柔らかくなって きた。

…あれ?自然消滅しそうだぞ?

「自然消滅しそうな悪性腫瘍なんて、聞いたことがない!」

そう思った私は、胸のしこりが「良性腫瘍ではないか?」という思いを強くしていた。

でも、やはり場所が場所だけに、どうしてもナーバスに考えてしまう。

体験記サイトの中に、1年前からある胸のしこりを放置していて、成長しないからと安心していたら、「実は悪性腫瘍だった。」という話もあったし、とにかく素人判断は危険だ。

悪性か…?良性か?

1人で悩んでいると、どうしても悪性腫瘍の心配は消えない。だから、消滅してもしなくても、とりあえず病院に行こうと思った。

…もし最悪、悪性だとしても、きっと早期だ。

早期の乳ガンとは、しこりの大きさが2センチ以内の場合を言うらしい。

私の胸にしこりの大きさは、3ミリと2ミリで、まだかなり小さい。

乳ガンは子宮ガンと同じく、患者に病名を告知しない時代から、告知してきた病気である。

つまりそれだけ完 治しやすく、発見が早ければ早いほど、その可能性は高くなり、乳房も失わずにすむのである。

だから、何もなければ「よかった、よかった!」で済むし、どちらにせよ早いうちに行くべきである。

そう考えると、今すぐでも行きたくなるのが、私の性格である。ホントは誰にも知られずに、出勤前に行きたかったので、来週の木曜日と思っていたが、予定を変えて月曜日に 行くことに決めた。

だが、こんなことを言っては何だが、このしこりが例え良性でも悪性でもショックを受けそうだった。

悪性の場合、確かに初期なら完治の可能性が非常に高いのだが、乳ガンも女性ホルモンが大きく関与するため、治療後5年間は、妊娠するのを避けた方がよいとされている。(再発のリスクが高くなるため。)

仮にもし手術・治療となっ た場合、5年後には私は40歳になる。妊娠・出産するにはわりとギリギリの年齢 だ。でも、これは少なく見積もった時間で、もし治療が長引けば、時間切れになるか もしれない。

私は不妊治療をしないつもりなので、自然に妊娠できなくても、それは 仕方ないと思っていた。

だが、病気のせいで妊娠できない身体になるなんて、絶対イヤだった。

「お気の毒ですが、お子さんは諦めてください。」なんて言われたら、思 わず泣いてしまうかもしれない。もちろん、「自分の命と妊娠、どっちが大事か ?」と言われたら命と答えるが。

…あ〜、筋腫は成長しなくていいかも?

乳ガンの治療も、エストロゲンの分泌を抑制するホルモン療法を行うので、その間筋腫が成長することはない。

だが、乳ガンの心配をしている今、ほぼ100%良性腫瘍 である子宮筋腫のことなんか、どうでもよくなっていた。(苦笑)

そして、しこりが良性の場合は、子宮筋腫と同じく、あまり大きくなければ経過観察、成長するようなら、手術で切除をする場合が多いらしい。

私のしこりは小さいので、経過観察になる可能性が高い

私の体に腫瘍が合計6個…。

子宮筋腫も経過観察、胸のしこりも経過観 察、しかも婦人科と乳腺外科のはしごである。(^_^;)そのことを考 えるだけでウンザリした。

…腫瘍だらけの身体なんて、イヤだ〜〜〜!!

その週の日曜日、胸のしこりはますます存在感が薄くなってきた。だが、やはり念のため、病院に行こうと思った。

そして、超病院嫌いの私は、明日病院に行くと思うだけで、その夜なかなか眠つけなかった