2.Iクリニック再び…(2月24日)

そんなわけで、筋腫のことを告知された時、最初に行ったIクリニックに行 くことにした。なぜこの病院かというと、S先生を知っていることもあるが、ここは今時の流行のレディースクリニックで、婦人科だけでなく、女性の身体全般を診るからである。

ちょっと意外だが通常、乳房(あるいは乳腺)の異常は、婦人科ではなく乳腺外科(なければ外科)である。

ちなみに、婦人科の管轄は卵巣と子宮。やはり一緒に診てくれる方が便利だ。

だが、そんなことより重要なのは、乳房に異常所見があった場 合、この病院ではマンモグラフィという乳腺のレントゲンではなく、超音波による検査を行うからである。

…だって、マンモグラフィって痛そうじゃん。

マンモグラフィは板のようなものに胸を挟んで撮影するため、圧迫痛があると言われている。だが、超音波は痛くもかゆくもないラクな検査である。

「病院嫌いの医者嫌い&恐怖症」「人一倍、痛みに弱い」私にとって、

「痛い検査をしない」というのは、ものすごく重要なことであった。(苦笑)

「良性だと思うけど、念のため、細胞を取って調べましょう。」…なんて言われてもイヤだなぁ。

とにかく、少しでも痛い検査はパスしたい!!

そんなことを考えながら、半年振りにI クリニックの中に入っていった。今日はとても寒くて、雪まで降っているというのに、いつ 来ても適度に混み合っている病院である。

そして、筋腫騒動の時、一度もイヤな思いをしなかったクセに、相変わらず病院嫌いで、緊張しながら診察を待っていた。(笑)

そして、20分後…。

診察室に座っているS先生は、相変わらず「若いなぁ。」と思う容姿である。

私「去年は、T大病院・M先生をご紹介いただき、ありがとうございました。」

いきなりしこりの話をするのも何だか…と思い、とりあえずT大病院を紹介してもらったお礼を言った。すると、S先生は何のことか、すぐに思い出したらしい。

S先生「それで、あの後どうしました?」

私「また、4月にT大に行きます。様子を見ましょうってことで、半年おきの経過観察 になりました。」

S先生「そうですか。妊娠時の安全性を考えて、T大病院をご紹介したんですけどねぇ。。」

どうも、S先生は「経過観察」という診断に疑問を抱いているらしい。(苦笑)

私「でも、手術することに、“さしてメリットを感じられない”と言われました。

S先生「メリットを感じられないって言われた?」

私「はい。“症状も出ないだろうし、さして妊娠の妨げにもならないと思う”とも言われまし た。」

S先生「ホントに“妊娠の妨げにならない”って言われました?」

おいおい!私を疑うんかい!!!

私「ええ、全て子宮の外側に出来てるからって。」

S先生「確かに外側に出来ているので、受精、着床には影響ないでしょうけどね。でも、妊娠 中も筋腫が成長しますから、流産や早産の危険性を考えて言ったんですけどねぇ…。」

どうもS先生は、私が何らかの理由で、手術を断ったと思っている…気がする。(^_^;)

先生!!それは違うぞ!!(--;)

私はすっかりその気だったのに、M先生は「(要約すると)何でもかんでも、取ればいいってもんじゃない。」と、「手術は必要ない」と言ったのである。 (詳しくは、体験記1「大学病院、再来院」をご覧下さい。)

私「MRIの結果では、4センチと、3センチと、1.5センチが2つでした。」

S先生「4センチだから、手術の適応にならなかったのでもしれませんね。でも、子宮筋腫は成長していきますから、いずれ手術が必要になると思いますが…。まあ、M 先生がそうおっしゃるなら、様子を見ていきましょう。」

何だかS先生は、イマイチ納得してない風で、無理矢理自分自身を納得させている気がした。医師としてのプライドか?(苦笑)

でも、私もダテに今まで、子宮筋腫のことばかり調べたわけではない!

こういっては何だが、あのMRIの画像では、M先生の診断の方が正しい気がするぞ〜!(^_^;)

早産や流産になるのは、筋腫が成長して、子宮の重しのようになってしまうからである。私の筋腫は、どちらかというと下の方にあって、早産や流産というより、産道が狭くなって、帝王切開になりそうな雰囲気である。

まあ、S先生は超音波だけで、MRIの画像は見てないしなぁ…。(^_^;)

でも普通、「子宮筋腫のことなんか、忘れてしまいなさい。」とまで言われて、それでも「手術をしろ。」と言える患者はそうそういないぞ!!(苦笑)

(後からそのことを思い出し、「S先生に言えばよかった!」と、後悔した次第である。)

どないせえと言うのだ〜〜?!(苦笑)

だいたいM先生を紹介したのはS先生、アナタだ!!そんなに疑うなら、M先生に聞いて欲しい。(^_^;)

まあ、この時の私は、子宮筋腫のことなんかどうでもよくて、しこりにばかり気を取られていたが。

そして、S先生が「…で、今日は?」と切り出したので、やっと本題に入ることが出来た。

私「先週、胸にしこりらしきものを見つけて、自然消滅しそうなんだけど、やはり気になるので来ました。

S先生「どこに?」

私「右胸の真ん中辺りです。」

S先生「何か外見的特徴はありますか?」

私「あります。3ミリと2ミリぐらいで小さいですが、何だかボコッと盛り上がっている感じです。」

S先生「乳がんの検診を受けたことはありますか?」

私「はい、去年の8月に。」

S先生「それは、レントゲン(マンモグラフィのこと)とかですか?」

私「いえ、触診だけです。」

S先生「じゃあ、念のために見てみましょうか。」

看護婦さん「ブラジャーの金具だけ外して、ベットに横になってくださいね。」

私が横になると、看護婦さんがお腹と胸から上の部分にタオルを置いて、出来るだけ肌の露出を少なくした。

このクリニックは、婦人科の診察もそうだが、バスタオルをかけてくれたりして、患者が出 来るだけ恥ずかしい思いをしなくてすむように配慮している。

さらに、一般的に痛いと言われている子宮体部細胞診も、まず超音波で様子を見て、内膜に異常が見あたらない限りはやらないらしい。「苦痛があるわりには、確実性に欠ける」からだそうだ。もし行う場合は、麻酔をかけて行うらしい。

「検査が怖くて病院に行けない」とか「内診が恥ずかしくてイヤ」とか、そういう理由で足が遠のいたりしないよう、色々心配りをしているのがよく分かる。

S先生のそういう姿勢は、素晴らしいと思うし、すごくいいと思う。

だが、さっきの会話を思い出すと、
どうも私とS先生は、イマイチ波長が合わないらしい。
(苦笑)

決して、「バカ医者」とか「心ない医師」だとは思わないんだけど…。相性の問題かな? (^_^;)

S先生はM先生に比べて、かなり慎重派だと思うから、その辺の問題かもしれない。

以前にも「病院なんか大キライ!!」(番外・心配性の医者)で書いたとおり、私はナーバスで心配性な患者になってしまうから、慎重派な医師とはあまり相性がよくない。(^_^;)

S先生「ちょっと失礼しますね。」

そういって、S先生はしこりのある左胸を触診した。

S先生「何も言われないで調べたところ…これのことかな?」

S先生と私が指摘した場所は全く同じであった。

だが、S先生は「見たところも、触ったところも、悪いものには思えませんね。」と言って、超音波の機械を手に持った。

基本的に、胸部の超音波も腹部超音波とやり方は一緒である。冷たいゼリー状のものを見たい箇所に塗って、その上から機械を当てていくのである。

M診療所もそうだが、こういう時の医師は大抵無言で、何度も同じ個所を調べられると、何だかすごく気になる。(^_^;)

S先生「お身内の方で、胸の病気(おそらく乳ガンのこと)をされた方はいますか?」

特にいなかったと思 うので、「いません。」と答える。そして、一通り調べ終わった後、S先生が口を開 いた。

S先生「左胸はちょっと乳腺症っぽいけど、特に異常は見当たりませんね。しこりもイボか脂肪の塊でしょう。」

イボか脂肪の塊〜〜〜?!

きっと、超音波にも映らなかったのだろうが、
イボか脂肪の塊では、「悪性か?良性か?」 という以前の問題だ。(苦笑)

S先生「特に心配するような所見はないですね。」

そういわれたので、私は一気に緊張が緩み、ちょっと話題を変えてみた。

私「M先生って、とってもいい先生ですよね。」

S先生「僕も教えてもらった先生なんですけどね。M先生は人柄だけでなく、技術的 にも素晴らしい先生なので、安心してご紹介できるんですよ。腹腔鏡手術においては、 日本で最も優秀な医師の1人ですし。」

それはS先生に言われなくても、調べたから知っている。(笑)

でも、S先生もT大出身、「あ〜やっぱり師弟関係があったのか〜。」と納得した。

そりゃ、師匠であるM先生の診断には、あまり文句は言えんだろう。(笑)

でも、S先生には何か誤解されたようだ し、

今度M先生に会った時には「“手術の必要はないと言われました。”と言ったら、 ホントにそうですか?と疑われました。」ぐらいはチクってやろうと思う。(笑)

…というわけで、
またまた「取り越し苦労」「心配し損」に終 わった。(^_^;)

単に「乳ガン検診」をしてもらっただけである。

まあ、出来た場所が場所だから、念のために診てもらうのは、決して大げさな行為ではないと思うが。

でもよくも まあ、あれだけ色々想像できたものである。(苦笑)

まだ何もいわれてないウチから、 その後の治療から、今後のライフプランまで考えてしまったのだから、自分でも呆れる。(^_^;)


だから、このことを病院に行く前に、誰にも言わなくて、ホントによかったと思う。

もし、みのむちくんに言った日には、「みのこ、死んじゃうかもしれないし、もう子供も産めないよ〜〜〜!!」と涙ながらに訴えていたに違いない。(^_^;)
(この言い方はかなり大げさすぎで、絶対そうとは限りません。念のため。)

だが、触診より精密な乳がん検診(超音波)を、保険適応(せこい!笑)でしてもらったし、前回の検診から半年ぶりだから、タイミング的にもすごくよかったかも?(1年おきの検診だと、まれに検査と検査の狭間で、異常が起こることもあります。)

ちなみに問題のしこりは、発見当初より厚みもなくなって、やわらかくなっている。もし今だったら、まずその存在に気付かなかっただろうし、多分しこりとも思わないだろう。

そして、また落ち着きを取り戻した私は、「やった!HPの更新ネタが出来た〜!」と、ちょっと喜んでしまった。(^_^;)

*2013年3月24日追記…実はこの話には後日談があります。長いので「8.胸のしこり騒動(後日談)」をご覧ください。