9.大学病院、再来院(10月16日)

またまた憂鬱な気分を抱えた私は、今回の予約は12時なので、一旦出社した。出社しても、40分したら出かけるというのに、色んな人から色んなこと(仕事のこと)を言われる。

だが、今の私の精神状態では、そんなことを聞いていられる余裕が全くない!

やはり今は仕事より、自分の身体の方が大事だ!!(笑)

さらに、会社を出る直前、上司から電話がかかり、出来るだけ不機嫌な声にならないように応対をする。そして、12時の予約に間に合うよう、ギリギリで会社を飛び出した。その途中でも、仕事の話をされるんだから、たまったものではない。(苦笑)

私(いい加減にしてくれ〜〜!今、聞いてられる余裕は、ひとっっつもないんだ〜〜!!

そして今日、私はあまり憂鬱だったので、朝食を取らなかった。ほとんど空きっ腹の状態で、また吐き気を堪えながら、T大病院に向かう。JRの最寄り駅で、すごく待たされることを想定して、チョコレートなんかを買った。どんなに気持ちが悪くなっても、パンやおにぎりは食べる気が起きない。

T大病院に着いたのは、12時ジャスト。 外来の総合受付は、「なんでこんなに人がいるの?!」ってぐらい混んでいた。

婦人科も同じような混み具合だったが、初診は10時からのことが多く、再来の患者がほとんどである。偶然かもしれないが、前回ほど深刻そうな顔をした人はいない気がした。

ただ、やっぱり私は前回の3割引ぐらいの憂鬱さ加減で、診察を待った。

それから1時間半後…

「みのこさん、4番にお入り下さい。」

いきなり不意打ちのように、そんなアナウンスが流れ、私は慌てて席を立った。 行った場所は内診室の横にある、前回より狭い診察室である。今回は医大生らしき助手(?)もおらず、M先生1人だけだった。 M先生は、パソコンのディスプレイで、MRI検査の結果を私に見せる。

画面は12分割されていて、 たった15分の撮影で、12カットも撮ってたとは、かなり驚いた。

もちろん、それぞれの画像は説明されないと、私には何が何だかよく分からなかったが。(笑) M先生は、その中でも特に分かりやすく写っている画像を出しながら、私に説明する。

M先生「ここにね4センチのが1つと、あと3センチが1つと…」

私(え?!まだあるの?!

M先生「あと1.5センチのが2つあるんだよね。」

調べるたびに小さくなっていくのはいいが、 何だかどんどん数が増えてないか?!

「4つあるんですか・・・。」

確かに筋腫が多発性なのは知っていたが、やはりショックで、思わず気落ちした声でつぶやいた。

M先生「そんなに落ち込まないで〜。」(^_^;)(←ホントにこんな顔をされた。笑)

そして、M先生は前回と同様、下半身のイラストを横から見た図に、筋腫の位置を書き込んだ。

M先生「4つとも全て子宮の外側にあるから、さして妊娠に影響があるとは思えないんだよね。症状も出ないだろうしね。」

私「あ、でも1つは子宮筋の中にあるんですよね?」

M先生「あ、これ?(3センチの筋腫)微妙な位置だね。ちょっと(子宮筋に)食い込んでる感じかな?」

最初、子宮筋にあると思われていた1つは、ちょっと入りこんでいるので、超音波ではそう見えたらしい。 つまり、全部漿膜下筋腫ということになる。確かにこのタイプは、症状もあまり出ないし、不妊や妊娠の妨げにもなりにくい。

しかも、私の筋腫は揃いも揃って、全て子宮の後ろ側にある。だからかどうか分からないが、私の子宮はへしゃげてるどころか、普通の形をしていた。(と思う。)

M先生「今まで、妊娠しようと努力して出来なかったら、我々は「筋腫が原因かな?」って考えるのね。でも、そういうわけでもないんでしょ?」

私「はい、作らなかったんです。」

M先生「だったら、出来ないかどうかも分からないわけだよね?(笑)ちゃんと排卵が来て、その時期に頑張っていれば、大抵1年もすれば出来るよ。(笑)」

私「はあ、でも妊娠は2年後ぐらいにって思ってるんです。」

M先生「だったら、なおさらだよ!(笑)今から、2年後の子宮をキレイにしろって言われてもねぇ。(笑)だって手術しても、お腹の中がちょっとスッキリするだけだよ。

また(筋腫が)出来ちゃうかもしれないし、しんどい思いをするのはあなただし、そんなにメリットあると思えないんだよね。」

こういう説明をしながらも、M先生はパソコンの画面に、カレンダーを出していた。(もう半年後の経過観察の予約を入れる気でいたらしい。笑)

M先生「手術だって、必ずしも1 00%安全 って言うわけじゃないしね。」
(もちろんこれは「まあ事故なんて、滅多に起こるもんじゃないけどね。」と念を押されてました。だから、これから手術を受けられる方は、これを読んで不安に思わないで下さいね。

M先生「みんな、そう(取って欲しいと)言うんだけどね、僕はいつも患者さんにそう言うんですよ。

確かに、M先生の言う通りかもしれないと思った。しかも、4個もあるということは、私の筋腫は多発性だ。だから、特に再発の可能性が高い

M先生「まあ今後、(筋腫が)成長していくことあるので、半年ごとに様子を見ていきましょう。

私「え…?!筋腫って、成長しないこともあるんですか?!

M先生「あるよ。6センチの筋腫を、10年間持ってる人もいるしね。

これは、私も意外だった…。
だから「死ぬ(天寿を全うするという意味)まで気付かない人もいる。」とか「すべての人が治療対象ではない。」と言うのかと納得した。

だが、超心配性の私は、半年後の経過観察と聞いて、ちょっと不安になった。それは筋腫が発覚して以来、ずっと心配事の1つであった悪性の可能性についてである。

私「でも筋腫って、たまに悪性のことがあるんですよね?」

M先生「ああ、子宮腫のこと?あなたの場合、典型的な子宮筋腫だから、心配しなくていいですよ。(笑)」

言い切られてしまった!!(笑)細胞をとって調べたわけでもないのに?!そんなに私の筋腫は分かりやすいのか?!(苦笑)

だが、M先生は子宮筋腫における腹腔鏡手術で、定評あるドクターだから、毎日筋腫ばかり見てるだろう。以前、私が見た「子宮肉腫体験者サイト」に登場するのも、M先生である。

そんなM先生が、これだけハッキリ言うのだから、間違いない
と思う。これで、また私の心配事の1つが消えた。

余談だが、典型的と言うことは、もし私が筋腫核摘出手術をしたら、切除した筋腫は「子宮筋腫のサンプル」として、T大医学生の教材に使われるのか?!(笑)

さらに私は、最近ちょっと気になっていたことも聞いてみる。

私「この間の生理で、小指の先ぐらいの血の塊がでたんですけど…。」

すると、M先生はキッパリと私に言った。

M先生「そのぐらいは、誰にでもあります。気にしてたら、何でも病気のことと結びつけて悩んでしまうから、もう子宮筋腫のことなんか、忘れてしまいなさい。
人間生きてりゃ、へんなとこぐらいあるよ。(笑)」

「気にするな。」どころか、「忘れてしまいなさい。」とまで言われてしまった!!(苦笑)

「忘れろ」と言うことは、「子宮筋腫はないものと思え」ということか?!

M先生にここまで言われると、私の中から手術する気なんて、すっかり失せてしまった。誰でもそうだが、やらなくていい手術なら、絶対にやりたくない!

それで、すっかり安心してしまった私は、またポロッと本音を言ってしまった。

私「もうこの2ヶ月、色んな心配をして、疲れ果ててしまいました。。

M先生「そうなんだよね。だから、定期検診も良し悪しなんだよね。(苦笑)だって、言われなきゃ、今まで気付かなかったんでしょ?

この言葉、M診療所のドクター達に聞かせてやりたい!!(苦笑)

初めてM先生に会ったとき (6.緊張と不安の初来院)「受けちゃったのね。(苦笑)」のニュアンスは、やはり私の読み通りだった。

いやもっと正確に言うと、まだ知らなくて良かったのに!」ではなくて、「知らなくて良かったのに!」である。

私「そうなんです。私が受けてるM診療所って、特にチェックが細かくて、前に甲状腺がちょっと大きいからって、バセドー病を疑われました。」(詳しくは「1.人間ドックとは…?」をご参照下さい。)

ちょっとM診療所に対する恨み辛みも、M先生に言ってしまった。(笑) だって、この騒動の中で、M診療所が一番不親切だったのだ!!(設備の問題上、仕方ないけど。)

そして、私は半年後にあたる、来年の4月16日に診察の予約を入れた。

私「どうもありがとうございました〜。」

M先生「いやいや、どういたしまして♪(笑)

(どういたしまして…?!)

この場合は普通、「お大事に。」と言わないか?(笑)

M先生からしてみれば、診察の部類にも入らなかったのか?それとも私が患者扱いされていない(病人だと思っていない)からか?あるいは、両方か?(大笑)

子宮筋腫の診断で、「そんなに心配しなくていい。」とか「手術しても、しなくてもよい」というコメントは良く聞くが、こんなにハッキリ言うのは珍しいと思う。

普通に考えて、この診断に絶対の自信がなければ、そんな風に言えないだろう。

MRI検査までしたんだし、さすがの超心配性の私でも、ここまで言われると、「そうか〜。」と納得する。 私はM先生の言葉を信じることにした。

もしこれでも疑うというなら、本格的にノイローゼだから、婦人科ではなく、心療内科に行った方がいいと思う。(苦笑)

ここでやっと私は、なぜ前回の診察があれほど和やかな雰囲気だったのか、診察との間が1ヶ月以上空いているのか、理解することができた。 結局、手術の話は立ち消えになったが、T大学病院まで行った価値は充分あったと思う。

そんなわけで私は、診察室を出た途端、思いっきり大声で「どっひゃひゃひゃ〜〜!!」と笑いたくなった。 だが、それを必死に堪えたので、何となくヘラヘラしてる変な患者になってしまった。(笑)

帰宅後、みのむちくんにこの結果を話すと、「みのこがいいなら、それ(経過観察)でいいよ。やっぱり、大したことないんじゃないかと思ってたんだよね。」と言った。

何だか、みのむちくんの考えもコロコロ変わってないか?!(苦笑)でもまあ、やっと考えが一致したので、よしとしよう。(^_^;)

子宮筋腫の告知を受けてから約2ヶ月半…、

やっとひと段落ついたというか、今までの人生の中で、最大の笑い話となってしまった。(^_^;) 私の憶測が正しかったのは、「私ってバカ」と言うことだけである。(苦笑)

このファイルの前ページ8.再び、情緒不安定に陥るを、抹消してしまいたいぐらいだ!

「もうこんな騒動は、二度と勘弁して欲しい。」と思ったが、M先生のようなドクターに出会えたのは、非常にラッキーだったと思う。産婦人科にお世話になるのは、何も病気の時だけじゃないし。

あとは筋腫が成長しないのを祈るばかりである。そしたら私も、寿命が尽きるまで、持っていられることだろう。

「これからも居候させてやるのだから、おとなしくしてろよ!」と、言い聞かせてみることにしよう。(笑)