ピルにまつわる話あれこれ


1.ピルとは?

もともとは「錠剤」という意味のようですが、最近では経口避妊薬(低用量ピル)のことをさすようになってきました。一般的にピルと言われる薬は、排卵や月経を調節するための女性ホルモン「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」を合わせた混合ホルモン剤です。

卵胞ホルモン剤の用量が、50μgのものを「中用量」といい、卵胞ホルモンの用量を50μg未満にしたものが「低用量ピル」です。(高用量ピルは、現在ではほとんど使用されてないので割愛します。)

ピルに含まれる2種類のホルモンが、女性の身体を妊娠した時と同じ状態します。あくまで「偽妊娠状態」なので、お腹がふくらんだりはしませんが、排卵が起こらないので、100%に近い避妊効果が期待できるわけです。


2.ピルの使用用途について

・生理日の調整や避妊(緊急避妊も含む)

・ホルモンバランスのくずれが原因で起きる症状の改善
月経不順、無月経、機能性子宮出血、月経困難症(生理痛)、月経前緊張症(PMS)、子宮内膜症、不妊症など

*その他、海外では子宮筋腫の症状緩和ための治療にも使用されています。


ここまでの文章を書くのに、やたら膨大な時間を費やし、そのわりには堅いつまらない(どこでも載ってると言う意味でも)話になってしまいました。しかも私は、医療関係者じゃないので、慣れない言葉ばかりで頭痛が。。(^_^;)

…というわけで、ここから先は、「みのこの言いたい放題」と同じく、(もちろん、事実に基づいて書いてるつもりですが)自分なりの解釈で、好き勝手に書かせて頂きます。「ふ〜ん、こういう考え方もあるのね。」と思って読んでください。



3.ピルにまつわる論争

下記でも詳しく書くが、1999年9月・日本で低用量ピルが解禁になった。
多分、その頃からだと思うが、「ピル反対派」と「支持派」が論議を繰り返し、今も「現在進行中」らしい。(この場合の論争は、「避妊目的でピルを使用することに対して」です。)

簡単に両者の言い分を書くと、こんな感じだろうか?

ピル反対派
「ピルはあまり心配ないなんて、真っ赤なウソ。薬でホルモンをコントロールするなんて、健康を害することになる。それにずっと妊娠状態するなんて、すごく不自然な状態だし、血栓症や(ある特定の)ガンのリスクも増える。そんな危険を冒して、飲むなんてやめておいた方がいい。」

支持派
「ピルは唯一、女性主体でほぼ100%の確率で避妊できる方法。しかも、避妊だけじゃなくて、色んな副効用(月経時の出血量の減少、(ある特定の)ガンのリスクの減少、骨盤内感染症の予防など)もあり、女性の身体をうまくコントロールできる優れた薬。」

そして、この論争を知ったときの私の感想はこうである。
「世の中には、もっと副作用の強い危険な薬も多いのに、なぜピルだけがそんなに言われなきゃいけないのか?妊娠を望まない女性にとって、常に「妊娠するかもしれない不安」を抱えるのは、大変に煩わしいこと。望まない妊娠で中絶するよりは、ずっと身体に優しい選択なのでは?」

だけど、その後分かったのは、ピルは病人ではなく、健常者が服用するもの。そのために、とてもとてもハードルの高い薬となっている。

話はそれるが、ピルと対極的な薬が抗ガン剤であろうと思われる。
抗ガン剤の有効性は、現段階ではおよそ30%ぐらいらしい。しかも、健常者は絶対使用してはいけない劇薬扱いである。だが、標準治療としてよく使われるところを見ると、大変ハードルの低い薬に感じる。

確かに日本の医療は、QOL(生活の質)のことを考える方向に向かっているかもしれないが未だ
「毒(病気)は(薬という名の)毒をもって制すので、もしも運悪く、多少のリスク(副作用や後遺症)などがでても、それはしょうがない。とりあえず病気が治れば、それでいいじゃん!でも、健常者がちょっとでも健康を害するのはまずいよね。
責任取れないし。(←ここが肝心ってか?苦笑)」ってとこか??

確かに、ピルにもメリットとデメリットがある。
世界中で認可され、WHOでも認められ、約40年間女性達の間で支持され続けてきた薬だ。もちろん、ピルによる重大な副作用(血栓症とか)も無視はできない。

だがそれは、「事故にあう確率」と同じで、例えば「飛行機が落ちるのが怖いから乗らない。」と言うのに似てる気がする。だってもし、ものすごく頻繁に重大な副作用が起きてるなら、全世界で発売禁止にするだろう。それをしないということは、デメリット以上にメリットを感じている人が多いということではないだろうか?

結局
「ピルを飲むも飲まないも自己責任」というところか?

ちなみに(避妊としては)
私はめんどくさいから飲まない。…というか、別に妊娠しても困る状況ではないっていうか、もし妊娠して困る状況があれば、それは浮気による妊娠??(苦笑)

でもその前に
「私は治療のために飲んでるの!副作用がどうのって前に、とりあえず飲まなきゃいけないの!だから、ガタガタ言わないでくれる?」と言いたい。(^_^;)

そんなわけで、これからピルを利用しようと思っている方は、「避妊なのか?治療なのか?」そのへんのスタンスをハッキリさせておいた方がいいと思う。




4.なんかおかしいぞ?!厚生労働省

3「ピルにまつわる論争」でも書いたが、1999年9月・日本で低用量ピルが解禁になった。
その際「低用量経口避妊薬(低用量ピル)の使用に関するガイドライン」なるものの中で厚生労働省は、高い高いハードルを設けたらしい。

…じゃなくて世界の常識では考えられないへんてこな規定をもうけたのである。

もっとも、なかなか低用量ピルを解禁にしなかったのも、「世界の非常識」と言われてたらしいし、避妊目的のピルユーザーさんから言わせると、「飲み忘れに対するガイドラインもへん!」ならしいのだが。。(^_^;)

もとい、ガイドラインによると、「子宮筋腫は低用量ピル服用の禁忌対象」らしい。

確かに「ピルは、卵胞ホルモン(エストロゲン)を含んでおり、筋腫に影響を及ぼす可能性がある」という意見は間違ってないだろう。

だが低用量ピルに関して、「筋腫が悪化する」という統計的なデータはないらしい。実際、WHOでもアメリカでも子宮筋腫は、低用量ピルを使用するにあたっては「使用に何の制限もつけなくてもよい」に分類されている。

ちなみに『禁忌』というのは、「安全性の点から、なるべく使って欲しくない」ということで、「使用禁止」という意味ではない。

つまり、本人や医師が自己責任において使うことは可能で、もちろん法律違反でもない。だた「もし不都合なことが起きても、厚生労働省は責任取らないよ。」ということらしい。

「じゃあ、今まで厚生労働省が、きちんと責任を取ったことがあるわけ?(--;)」と言うツッコミを入れたい気持ちはおいといて。。

いくら「自己責任で使用することが可能」と言っても、こう言われるとなかなか使いにくいことも事実。さらに医療関係者の間では、「子宮筋腫患者に対して、低用量ピルは使用禁止」と勘違いしてる人も多いらしい。

子宮筋腫は、「子宮筋腫って何?」でも書いたとおり、「30代以上の女性のうち、3,4人に1人はあると言われているありふれた疾患」である。そのぐらいたくさんの女性が、低用量ピルの適応対象からはずされている。

つまり「厚生労働省って、よっぽど低用量ピルを広めたくないんだろうなぁ。」って、きっとその通りだろう。

日本での低用量ピルの使用方法は主に避妊。つーかほとんど避妊。噂によると、ピルをあんまり普及させると、「少子化に拍車がかかる」とか「性感染症が広がる」と思ってるらしい。おいおい!本気か?!(--;)

あのねー、言いたかないけど、日本って中絶天国なのよ。だから、日本が「中絶は法律違反」にでもならない限り、ピルと少子化は別問題だと思うよ!

それにピルを飲んでる人は、きちんと自己管理ができる人だと思う。実際、2ヶ月飲み続けて分かったが、毎日同じ時間に飲むというのは、簡単なようで結構煩わしい。それができる人が、性感染症に無関心であるとは思えない。

ピル解禁については、政治家のトップの男性の考えが見えてきそうだ。本音は「女性が望む時期に妊娠する権利を与えるのがシャクだから」じゃないのか?!(--;)と思う。

まあ、100歩譲って…、つーか、10000歩ぐらい譲って、「お優しい厚生労働省の皆さんは、女性の健康にものすご〜〜〜く気遣ってるから。」ということにしておこう。(もちろんイヤミだ!)

低用量ピルが、子宮筋腫に対し「禁忌」なのはさんざん話したが、これが中用量ピルになると、なぜか慎重投与(文字通り「様子を見ながら飲んでもよい」ということ)になる。

コレって、どうゆうこと?!(-_-メ)

1「ピルとは?」でも書いたが、低用量より中用量の方が卵胞ホルモン(エストロゲン)剤の用量が多い。余談だが、ピルの副作用はその卵胞ホルモン剤が原因で、長年「どうやったら、ホルモン量を減らせるか?」という研究を重ねてできたのが低用量ピルである。

つまり(個人差はあれど)間違いなく「低用量ピルより、中用量ピルの方が副作用がでやすく、より筋腫が影響を受けやすい」ことになる。

「より副作用が多く、危険な方が使用OK」って、どうゆうこと?(-_-メ)

しかも、筋腫持ちとかそういうことは関係なく、低用量ピルの使用で認められているのは「避妊用」のみ。(つまり医療薬なのに、医療薬ではない扱い)治療として使用する際は、これまた「絶対禁止」ではないけど、保険適応にはならない。

だが海外では、子宮筋腫の症状緩和や子宮内膜症の症状緩和・進行を抑えるための治療として、当たり前のように低用量ピルが使われている。(子宮内膜症はうまくすれば、手術せずに済むぐらいまで進行を抑えることもできるらしい。)

つまり、海外での標準治療が、日本では保険適応外でしか受けられない。さらに余談だが、日本では歯科以外での混合医療(保険適応と自由診療を混在して医療行為を行うこと)は認められていない。だから、低用量ピルを治療に用いたければ、薬代はもちろん、その時の受診料や検査などは全て自由診療となる。そんな高額ではないにしろ、長期に渡って治療を行う場合は、結構な負担だと思う。

結局、「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン」とは、ピルを使用する人のことを全く考えていない(しかもちょっと厚生労働省の陰謀を感じる)、いかにもお役所仕事なのである。

一応書いておくが、私は別に「ピル支持派」ではない。(反対派でもないけど。)そして、誤解のないように書いておくが、上記の治療は中用量ピルなら保険適応で受けられる。だが、(ホルモン療法は個人差があるので、皆がそうではないが)副作用が強すぎて、治療を断念せざるを得ない人もいる。

つまり、このへんてこなガイドラインのせいで、(子宮筋腫とか内膜症による)重い症状で苦しんでいる人たちの治療の選択肢が減るのがどうにも解せないのである。

でもピルに限らず、厚生労働省って、探せばこういうことがまだまだ出てきそうだ。(-_-メ)

イレッサといい、薬害エイズの問題といい、
本当にロクなことしないな厚生労働省は!!(--;)

もう年金払ってやらんぞっっ!!払ってるけど。(2004年6月23日)
【さらに追記】しかもこれ↑を書いた3年後。。「厚生労働省の年金問題」で、国民の怒り大爆発!!「本当にろくなことをしない省」という私の認識は強くなるばかりである。(2007年9月24日)