ハリケーンの驚異!!(出発前日まで・その3)

8月上旬船内のレストランの1つ「チョップスグリル」

ネット通販で浴衣のセットを買う。「なぜ浴衣か?」と言うと、「カジュアルデー(あるいはスマートカジュアルデー)で着たら目立って面白いだろう。」と思ったからだ。

聞くところによると、カリブ海方面での日本人乗客は1%もいないらしいので、日本の民族衣装は受けるのではないだろうか…?なんて。

大抵のクルーズでは、毎晩18時以降のドレスコードが定められている。今回のクルーズでは、フォーマルデーが2日、スマートカジュアル1日、その他は4日間はカジュアルデー。

ドレスコードはみな悩むところらしいが、旅先でおしゃれして着飾るのも楽しいと思う。アメリカは、すべてはセレモニーではなくイベント。楽しくなくては意味がない。(笑)

それに船にもランクがあり、今回乗船するのは気取らないカジュアル船なので、フォーマルの場合「男性はスーツ。女性はワンピースかドレス。」ぐらいだろう。(タキシード着用率は20%ぐらいらしい。)ドレスもロングだと浮いてしまいそうだ。

「振袖や留袖なども大変喜ばれます。」と書いてあったが、そこまでやると大変なので浴衣にした。全くの偶然だが、日本らしい桜柄である。最初はパーティドレスを買おうと思ったのだが、すでに1着あるし、値段を調べたら意外に安かったからだ。

しかし、浴衣を着るのなど、子供のとき以来で、着付けのことなど全く分からない。ゲストリレーション(いわゆるレセプションのこと)そしてアジア路線ではないので、船内で着付けサービスがあるとも思えない。それで、着付けが簡単な結び帯を買い、何度も買った店に質問のメールを送り、自分でできるように練習した。

8月中旬

今回は個人旅行というよりパッケージツアーみたいなもので、準備もそんなに要らない。パスポートの有効期限も、まだ8年もあるから余裕だ。

買い足すのは、日焼け止めぐらいか…?と思ったら、TSAロック付スーツケースベルトを買うことを忘れていた。久々のアメリカで、すっかり失念していたが、アメリカ行きの便では、スーツケースに施錠はできないのだ。

さらに、ちょっと悩んでユナイテッドのマイレージが貯まるクレジットカードを作った。あまりないと思っていた準備も徐々に進む。今回は、あまり話題にしていないが、マルタ・ドバイ編もみのむちくんの帰国前に完成させた。

そしてミキ・ツーリストより、「どうぞすばらしいクルーズの旅をお楽しみください。」と、クルーズガイドやバウチャー、バゲージタグなどが送られてきた。

8月下旬

8月頭から北京に出張していたみのむちくんが帰国する。「浴衣を買った。」というと「みのむちくんは〜?みのむちくんは何を着たらいいの?」と言うので、「安いから買えば?」と答えた。ただし、女性の浴衣は本当に華やかで、見ているだけで楽しいが、男性の浴衣はほとんど紺と白と茶色しかなくて、本当に本当につまらない。(笑)「将棋の駒柄」というぴったりの柄もあったが、サイズが大きすぎた。でも、みのむちくんもまた腰紐や帯や下駄など、すべてが揃ったセットを買った。

ガラビッフェ ガラビッフェ

9月1日

密かに恐れていたことが起きる。
それはハリケーンの到来で、8月から10月中旬のフロリダ州は、ハリケーンのシーズンなのである。

今回のクルーズは、フロリダのマイアミ港から出航する。もちろん、乗員・乗客合わせて5,000人は乗れる大型客船は、滅多なことでは欠航せず、天候不良をできるだけ回避するために、ルートを変更して、クルーズを催行するらしい。(この場合、乗船することに意義があるから、例え寄港地がジャマイカからプエルトリコになったとしても、誰も文句は言わないだろう。笑)

ただし「カトリーナ級(3年前にアメリカを襲ったハリケーン)のハリケーンが来たら、その場限りではない。」とあった。しかし今日、上陸したのは「今世紀最大のハリケーン」と言われるグスタフ(Gustav)。今世紀って、まだ10年も経ってないのに。。(汗)

もちろん欠航した場合は、代替えの日程・船が用意されるが、船・寄港地はともかく、日程を変えられても困る。…というか、ほとんどの人が参加できなくなるのではないだろうか?まあ…常識的に考えて、こんな短い期間で、同じ規模のハリケーンが来るとは思えないが、後は祈るしかないだろう。

…と思ったら、その1週間後、また大型ハリケーンアイク(Ike)が到来して、ハイチに多大な被害をもたらす。大丈夫だろうか?クルーズは?!
旅行の神様に「どうかハリケーンが来ませんように!」とお願いして見るか…?

デッキから アイススケートショー

出発5日前

ドル、ユーロなどの世界の主要通貨に対して、急激に円高が進む。前週の水曜日に両替したが、「もう2日待てばよかった!!」とちょっと後悔。まあ私とみのむちくん合わせて500ドル程度だし、ユーロほど激しく変動してないからいいが。

ちなみに船の中は、カード払い(あるいは最終日精算)となるため、ほとんど現金が必要ない。使うのはタクシー代とチップ。だから、1ドル札を50枚、それ以外はすべて20ドル以下の少額紙幣にした。おかげで、厚さ1センチの札束となり、まるでインフレの国のようである。

しかし、毎度のことながら、何か「時間がない!」と気持ちばかりが焦っている。一体、私は何をしたいのか?それとも私の「1年の一区切り」は、年末年始ではなく、海外旅行出発前にあるからかもしれない。

美容院もある 大人専用のプール

出発2日前

表面上は仕事モードのような顔して仕事してるが、実はカリブ海のことしか頭にない。だって、明後日から出発なのだ。
ちょっと調べてみると、マイアミと言えば、ストーンクラブ(イシガニ)が有名らしい。世の中でカニとエビが一番好きな私としては、ぜひ食べてみたいと思うのだが、収穫時期は10月半ばから5月半ばまでの7ヶ月間のみ。渡航時期は1ヶ月早いので残念だ。船上から見る夕日

出発前日

休暇前と言うこともあって、さほど忙しくない。だが、仕事の都合で、連日いつもより1時間早い出社が続き、とても眠い。

19時30分に退社して、晩ご飯を食べて、台所を片付け、トイレや風呂の掃除、洗濯物を取り込んで、風呂に入って、また洗濯したり、準備をしたりしていたら、何だかんだで夜中の1時過ぎとなる。結構余裕を持って、前から色々準備したきたつもりだけど、やっぱり出発前夜は忙しい。

そして、やるべきことをやり終えて、メールチェックしようと思ったら、力尽きて寝てしまった。





長い一日の始まり(初日・成田空港)

京成スカイライナーの車内午前6時前、一度目が覚めたが、うたた寝していたソファから移動して、ベットで寝なおす。

そして、10時ごろ起床。12時にうちを出たらいいので、まだ余裕がある。しかし、顔を洗って着替えて、昨日浴室乾燥機に干しておいた洗濯物を片付け、化粧品などをバッグに入れると、時刻は11時30分を過ぎようとしていた。

30分しかない!慌てて昨日見られなかったメールをチェックし、簡単に日記に書き込み、あっという間に2時間が経過していく。

うちの近所は法人が多く、昼の12時台はみな食事時間なのか、あまり人が出歩いていない。人ごみがないのは楽でよいが、やはり大荷物での移動は大変だ。

まだ成田空港に到着しないまでも汗だくとなる。まあ、最近頻繁に起きるゲリラ豪雨に遭遇するよりマシだが。

おまけに、西日暮里の自動発券機は、ここまでの料金を精算してくれないので不便だ。おかげで、12時45分発の京成スカイライナーも、発車2分前に乗り込むことになる。

余裕を持ったつもりが、またあわただしい出発。しかもこの時間帯は、このあと40分ぐらい電車がない。ただし、大変なのはここまでで、スカイライナーに乗ってしまえば、スーツケースを持っての移動も楽になる。

しかしこれが、長い長い1日の始まりでもある。

13時40分。出発の約3時間ほど前に成田空港に到着する。私にとってはコンチネンタル航空のカウンター(モニターにはヒューストン行き欠航のインフォメーションが)、3年ぶりの第一ターミナル。ここ2〜3年の旅行では、トルコ航空とか、ガルーダインドネシア航空とか、このところマイナーな航空会社ばかりで、第2ターミナルからの出発が多かったのだ。

しかし、ついこの間まで、北京に出張していたみのむちくんは、北京国際空港を見た後では、成田空港はどこかの田舎の空港のように見えるという。ただし、この航空会社のカウンターの並び方は、国際空港そのもの。

すでに座席は決まっているが、スーツケースを預かってもらうために、コンチネンタル航空のカウンター目指す。すると、ニューアーク行きの後に出発するヒューストン行きが欠航となったらしい。

テキサス州に上陸したハリケーン・アイク(Ike)の影響か?!

しかし、これがもしも1週間前だったら…と考えると恐ろしい。そのころ、アイクはフロリダあたりにおり、先週のクルージングはルートを変更していたのである。

先ほども書いたとおり、今のカリブ海はハリケーンのシーズン。私はクルーズのことばかり心配していたが、実は飛行機の方がやばいのである。もしかしたら、マイアミ行きは欠航になっていたかもしれない。ニューアークまでは飛ぶだろうが、その後のルートが難しい。だがその場合でも、クルーズの出発は待ってくれないわけで、最悪ニューヨーク観光で終わってしまう…と思うと運のよさに感謝した。

それと「あと4日ぐらい長く休みが取れたら、このままエクアドルにいる妹のところに行けたのにな。」と思ったけど、エクアドルへはヒューストンを経由する。…となると、カリブ海地域のハリケーンが、まさか南米行きにまで影響を及ぼすとは、全く考えもしなかったのである。

それはさておき、「(私とみのむちくんが乗る)このニューアーク行きも、かなり混みあうかもしれないな。」と思う。なぜなら、ヒューストン行きに乗るはずだった乗客が、航空会社と「これからどうするか?」を相談しているはずで、「とりあえずアメリカ本土まで行こう。」と思うのではないだろうか?

そんなことを考えつつ、チェックインカウンターに行くと、アメリカでの滞在先を聞かれる。2005年10月4日以降、アメリカへ入国する人(アメリカ本土だけでなくハワイ・グアムを含む)は、航空会社を通じてアメリカ当局へ、アメリカでの滞在先の住所及び居住国の申告が義務づけられたようだ。

ただし、私とみのむちくんはマイアミで1泊するのみ成田出発前の私の定番は天ぷら。そこで、クルーズのバウチャーを見せ、船名を伝えた。さらに今回のフライトは、ワールドパークス(ノースウエストのマイレージプログラム)に加算してもらう。

ボーディングチケットを受け取ると、「搭乗ゲートは、出発の20分前に閉まるので注意してください。」と言われる。コンチネンタル航空は遅刻に厳しく、乗客を待たない航空会社として有名なのである。

その後、ドリンククーポン25ドル分6枚つづりを買う。(1杯5ドルで、1枚分はサービスのよう。)アメリカの航空会社のエコノミークラスでは、ソフトドリンクは無料だが、アルコール類は有料なのである。カウンターの前にあるパネルタッチタイプの自動販売機で買うことになるが、英語表記だけなので、意外と操作が難しいかもしれない。

スーツケースを預けると、まず昼食を食べることにする。直前にネットでチェックした10%引きのクーポンのある和食の店に行く。

すると外国人(アメリカ人だろうか?)、とんかつ定食を食べていたが、なんとキャベツにすりごま、ご飯にソースをかけている。どんな食べ方をしても個人の勝手だが、一応教えてあげたらいいのに…と思うんだが。

おまけに、メニューはすべて日本語でしかなく、これでは外国人には全く想像もつかず、店内に写真があるものしか注文できない。そして、外のショーケースのメニューは中途半端に英語併記。しかし、よくよく考えてみると、成田空港は国際空港だから、日本料理の店に外国人が来ることは珍しくない。だったら普通、メニューは英語併記しないのだろうか?「まるで中国みたい。」とみのむちくんは言う。

私とみのむちくんが乗る機体 アメリカ系航空会社ばかり

そのあとちょっとぶらぶらしてたら、時刻はすでに15時30分。出発1時間前である。いつものことだが、空港ではふらふらしているだけで、あっという間に1時間ぐらい経過する。ここからまだセキュリティチェックや出国手続きがあるので、搭乗ゲートへと進むことにする。

セキュリティチェックを通過すると、すぐそこに私とみのむちくんが搭乗する予定の機体が見える。しかし、あっちもこっちもアメリカ系航空会社の機体ばかり。夕方の成田空港は、まるでアメリカの航空会社のハブ空港のようである。

ANAの他はほとんどアメリカ系 免税店がある通路

搭乗ゲートに向かう途中で、免税店に寄り、みのむちくんはタバコと紙の容器に入ったワンカップ大関の5本セットを買う。機内には液体物持込制限があるので、通常はたとえ免税店で買ったものであっても、トランジット先で没収となる可能性がある。

しかし今回、スーツケースのピックアップはマイアミ空港だと思っていたら、ニューアークで入国審査や税関を通らないといけないので、一度ピックアップしないといけないらしい。これが幸いして買えるのだが、次にマイアミ行きの便に預ける前に、忘れずに入れなおさないといけない。

だが、搭乗ゲート近くの売店でも、ビールやワンカップは売られているではないか〜〜!クーポン買って、ちょっと失敗か?ただし、ワンカップは瓶しかないし(紙製の方が高いあたりが、乗客の足元を見ている。)、ビールはここで買いだめをしてもぬるくなってしまうが。

そして、搭乗する際、「帰国日はいつですか?」と聞かれる。周りと見渡すと、フルネームを聞かれた人もいたし、同行者の人数を聞かれている人もいて、質問もまちまち。もしかして、これは本人確認のためだろうか?

搭乗ゲート コンチネンタル航空の機内

機内は予想通り混雑して、満席に近い。ただし、いつも乗るジャンボより真ん中が1列少なく、3列・3列・3列の並び。そしてシートピッチも意外に広く、機体も新しく感じる。私とみのむちくんの座席は最後尾で、2席しかないのが楽だ。ただし、ギャレイとトイレのすぐ側なので、人の出入りが多く、ミールサービス時には料理のにおいがすごい。しかも座席の後に荷物を置こうとしたら、コンチネンタル航空の備品が置いてあった。

離陸直前の様子 余談だが、アメリカの客室乗務員はでかい。身長はそんなに高くないが横にでかい。…と言うとみのむちくんに、「それって、でぶってことじゃん。」と言われる。

しかし、顔が元ドイツ代表のGK・オリバーカーン選手に似た客室乗務員がいることに驚く。…と言っても、この乗務員はHeではなくて、Sheである。ちょっと怖い。。(笑)

出発予定時刻の20分前。私とみのむちくんを乗せた飛行機は、搭乗ゲートを離れ、滑走路に向けゆっくりと動き出す。普通、出発時刻に搭乗ゲートを離れることが多いのに、離陸が出発時間とは驚きだ。

…と思ったら、さすがにそこまでスムーズではなく、出発時刻を5分過ぎ、ニューヨークへ向けて飛び立った。

座席に備え付けられたモニターでフライトマップを見ると、太平洋を横断しようとしている。いつもはロシア方面に向かって飛んでいくので、大変新鮮である。