予約がない?!(5日目・ウィーン・初日)

延々と続く北海道のような景色から、徐々に建物の数が多くなり、駐車場のようなところでバスは停車する。どうやらウィーンの西駅(Wien Westbohnhof)に到着したようだ。バスターミナルでは多くのタクシーが客待ちをしているが、きっとタクシー代は日本と変わらないだろう。ここは節約で、地下鉄でホテルに向かうつもりである。(セコい!笑)

ところで「西駅」と言えばウィーンの表玄関。日本で言うとJR東京駅のようなものだろうか?
一体、駅はどこにあるのだろう?

バスの車窓より ウィーンの西駅

しかしちょっと歩くと、いきなりプラットホームが現れる。いわゆるヨーロッパにありがちな「改札がなく、自由に乗車できる」駅である。(もちろん実際には、乗車前に切符に刻印を入れないと、多額の罰金を取られると思う。) そして、フランスやドイツ、スイス、ハンガリーやスウェーデンなど、ヨーロッパ各地に向かう国際列車がたくさん出ている。リアル「欧州列車旅行」の世界である。
西駅の構内
…駅の構内にて。喧騒の中で現地語のアナウンスがあり、自分が歩く靴音が聞こえる。思わず番組の冒頭シーンを思い出した。

それにしても、「到着は12時ぐらいかな?」と思っていたら、すでに時刻は12時30分。11時30分でも12時30分でもさして問題はないが、もし夕方到着予定だったなら、夜に予定が入っている今日はリスクである。

さて、まず地下鉄3号線のウエストバーンホフ駅(要は地下鉄西駅)から乗車するのだが、その前にウィーンカード (Vienna Card)を買わなければいけない。

ウィーンカードとは、地下鉄、バス、トラムなどが72時間乗り放題の上、観光名所やレストランなどの加盟店で、入場料が割引されたり、「飲み物が1杯無料」などの特典が受けられるカードである。価格は18.5ユーロ(約2550円)。

プラハカードに比べてずいぶん安く、今回の滞在はちょうど3日間なので便利である。(ちなみにウィーンの交通機関に関しては、「オーストリア政府観光局」のサイトが正確で分かりやすい。しかも日本語。さすが観光大国である。)

とりあえず西駅のインフォメーションに入り、「Do you have Wien Card ?」と訊ねてみる。「自分は持ってないが彼女が持ってる。」とか「ねえ、ウィーンカード持ってる??」とか、何かたらい回しにされたが買えた。よく考えると…英語で訊ねるなら「Wien Card 」ではなく「Vienna Card」。だが、「ウィーン」が現地語読みなので、「Wien Card」で十分通じるらしい。

そして、地下鉄構内へと向かう。どうやらウィーンのエスカレーターは、日本と変わらない速度のようだ。スーツケースと旅行バッグを持って、プラハのとんでもなく速いエスカレーターには乗れないのでホッとした。(笑)

ウィーンの地下鉄構内 地下鉄車内

ところで今日から滞在するのは、スターライト・スイーテン・ザルツグリース(Starlight Suiten Am Salzgries Hotel)。最寄り駅へは3号線に乗車したのち、シュテファンスプラッツ駅(Stephansplats)で乗り換える。ふと…「丸の内線で、よくこんな外国人を見るなあ。」と思った。日本に来た彼らも、きっとタクシー代節約なのだろう。

最寄駅であるシュヴェーデンプラッツ(Schwedenplatz)駅から、地上に上がると、近代化されたヨーロッパの街並みが続いている。

ウィーンって、都会だなぁ…。

ホテル近くの通り ホテル近くの通り

これが「初ヨーロッパ」なら、もしかしたら感激するかもしれない。しかし、美しすぎるチェコの街並みを見た後では「う〜〜ん。。何か…あんまりきれいじゃないね。いまいち情緒がない。」と言うのが、正直な感想である。例えるならば、日本に来た外国人が京都・奈良を見て「日本っていいなぁ。」と思った後、東京で「あれ??」と思うのに似てるかもしれない。

ホテル近くの通り 最寄り駅からはさほど遠くないが、少々迷いつつも、ホテルに到着する。チェックインの手続きをするため、バウチャーを渡すと、フロント係はパソコンの画面と、ホテル宛に送られたバウチャーの予備を取り出して、何度も見直している。

何かトラブル発生か?!

奥に座っていたマネージャーらしい女性が出てきて、私とみのむちくんにこう説明する。

本当なら9月29日から3泊分の予約が、なんと10月1日からの1泊分しか入ってないらしい。(3泊分を2回に分けて予約したせいもあるが)「これは私たちのミスです。歩いてすぐのところに、同じ系列のホテルがあります。同じランク部屋で同じ料金にします。」

そりゃ〜当たり前だろう!

ここで文句の1つもつけるところだろうが、今の時期、ウィーンのホテルの確保がどれだけ大変か知ってるので了承した。…と言うより、同じ系列のホテルがあまり変わらない場所にあることは知っていたが、いきなりでよく部屋が空いてるものだと驚いた。

そんなわけで、スターライト・スイーテン・レンガッセ(Starlight Suiten Hotel Renngasse)に移動する。会社には「ザルツグリース泊」で報告してるので、「行方不明」になってしまうが、よほどのことがない限り、何も連絡して来ないだろう。

部屋は、全室スイートタイプ。リビングと寝室に分かれていて大変広く、リビングにはキッチンにもあり、電子レンジやお皿、ナイフやフォーク、グラスなどもあるので、スーパーで総菜を買ってきて食べることもできそうだ。

客室(リビング) 客室
客室(ベッドルーム) 客室(キッチン)

機能的でスタイリッシュでかなりよい部屋だと思うが、ヨーロッパのホテルらしい情緒はない。しかも、廊下やエレベーターはまるで雑居ビルのようで、とてもホテルに泊まってると思えない。おとぎの国から、いきなり現実に引きもどされた気分である。(苦笑)

現在時刻はすでに午後2時。ダイレクトのシャトルバスでも遅れたのだから、乗り継ぎして来なくて正解だ。しかも、ウィーンのホテルは、当たり前のようにオーバーブッキングが起きるというから、早目の到着が望ましいのである。




「甘い7年戦争」は本当に甘かった!(5日目・ウィーン・初日)

夜のオペラ鑑賞まではまだ時間があるので、とりあえずオペラ座方面まで向かうことにする。(ウィーンのショッピングスポットもまた、このあたりに位置するのである。)トラムに乗ろうとすると、なんと工事中。微妙に路線が変わり、思うとおりに行けない。その工事が「10月5日まで」と言うから、なんだかいまいちついていない。旅行中にありがちな「運気が落ちる日」に突入したか?

バス停 トラムの車内より

ともあれ、最寄り駅であるオーパー駅に到着する。(スペルは「oper」なので、そのまんまだ。)この駅の地下はショッピング街になっており、トイレまでオペラ仕様。まだ昼ごはんを食べていないが、近くにかの有名な「ホテルザッハー」(Hotel Sacher)がある。ここの名物は、もちろんザッハトルテ。

詳細は割愛するが、デメル(Demel)と商標をめぐって「甘い7年戦争」(「甘い7年伝説」ともいう)となったオリジナルザッハトルテ(Original Sacher-Torte)である。公式サイトのオンラインショップで、直径12pのものが19.5ユーロ(約2690円)と結構いい値段だが、全世界から注文が来るらしい。

お土産に買って帰りたいものの1つだが、とりあえず食べてみよう。ホテルザッハーは5ツ星ホテルだが、併設のカフェはかなりカジュアルな雰囲気で入りやすいのである。店内はほぼ観光客だらけ。流行ってる店のせいかもしれないが、「オーストリア人もよく働くなあ。」という印象を受ける。そして、これまた人種・国籍関係なくやることはみな同じらしい。(笑)みな一様にケーキを撮影しているが、ブログに載せるつもりだろうか?

オペラ座近く カフェ・ザッハー

日本では、コーヒーにホイップクリームを浮かべたものを「ウィーン風」と言う意味で「ウィンナーコーヒー」と呼ぶ。だが、ウィーンには「ウィンナー・コーヒー」は存在しない…ということをガイドブックで初めて知った。

これにに近いのは、エスプレッソと温かいミルクを加えた上に、ホイップクリームを載せたフランツィスカーナー (Franziskaner) 、あるいはコーヒーに生クリームを載せたアインシュペナー(Einspanner)。(アインシュペナーはホットだが、カップではなく必ずグラスに注がれているようだ。)

そこで、ザッハトルテとアインシュペナーを注文する。しめて11ユーロ。(約1500円。)あまりにベタな注文なせいか、聞き返されることもない。だが……この組み合わせは失敗だ。(苦笑)

オリジナルザッハトルテ アインシュペナー

オリジナルザッハトルテは、噂どおりとても甘い。

添えられてるのは砂糖抜きの生クリームだが、それでは追いつかないぐらい甘い。これに合うのはブラックコーヒーかエスプレッソ。「ウィーンらしさ」で言うと、メランジェ(Melange)か?(エスプレッソとホットミルクの上に、ミルクの泡を載せた飲み物)とにかく生クリームたっぷりのアインシュペナーではないことは確かだ。(苦笑)

「ブランド」ということだけで、買って帰るのを躊躇する味だったが、私の洋菓子に対する嗅覚は鋭い。(と思う。)後日、このオリジナルザッハより安くておいしいザッハトルテを発見するのである。

オペラ座 オペラ座

店を出ると、モーツァルトのような人に遭遇。何だコイツは?(東京芸大の青島広志先生か?!苦笑)
「ガクユウキョウカイ」という中途半端な日本語を知っていて、どうやら「楽友協会」のチケットのセールスらしい。

きっと「ウィーン・モーツァルト・オーケストラ」(Wiener Mozart Orchester)のチケットを売ってるのだろう。楽友協会の演目で、モーツァルトが活躍した当時を再現し、奏者が18世紀の衣装・髪型をして演奏するというコンサートがあるのだ。

オペラ座のチケット購入後、色々調べたが、「格」「レベル」と言う点では、やはりオペラ座に勝るものはなく「別にいいや。」って感じである。(上記のチケットもまた公式サイトから買えるが、現地で「モーツァルトな男」から買った方が安いかもしれない。)

ちなみに楽友協会は、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の本拠地として知られている。だが、ウィーン・フィルハーモニーのチケットは、購入どころか、まず会員になって、何年も「キャンセル待ち」をすることが基本のようである。これを入手できるなら、高いお金を出す価値があるかもしれないが、素人みたいな大手旅行会社では無理だろう。

ケルントナー通り ケルントナー通りの大道芸人

その後、メインストリートであるケルントナー通り(korntner street)を歩き、行きたい店をざっとチェックする。ウィーンと言えばそのモーツァルト。何でもかんでも「モーツァルト」って感じで、お土産にもらったことがあるモーツァルトのチョコレートは、本当にどこでも売られている。

あと地元オススメのお菓子「マンナー(Manner)」のアンテナショップも発見。企業カラーはピンクで、ウエハースが有名だが、安いのでばら撒きようによさそうだ。
また、オーストリアで有名なのはスワロフスキークリスタル。だが、本店は非常に入りにくそうな雰囲気である。

ケルントナー通り ケルントナー通り

そしてウィーンは、ケーキの街でもある。カフェの数も多く、どの店にもたくさん種類のケーキがある。ウィーン滞在中は、「最低1日1個」を目標とする。(笑)(後日イヤになるほど登場する)シシィの愛称で親しまれているエリザベート皇妃が愛したすみれの砂糖菓子を売っているハプスブルク家御用達の「ゲルストナー(Gerstner)」も発見。

とりあえず買い物は後日にするとして、シュテファン大聖堂(Stephansdom)に入る。800年以上の歴史があり、ウィーンのシンボルでもある。ハプスブルク家の歴代の君主の墓所であるほか、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトとその妻ウェーバー・コンスタンツェの結婚式と葬儀が行われた場所でもあるらしい。(そして、この聖堂を含むリンク(Ring)と呼ばれるウィーン歴史地区は、2001年にユネスコの世界遺産に登録された。)

シュテファン大聖堂 シュテファン大聖堂

入場料は無料だが、137メートルの塔は有料らしいので、明日気が向いたら上ることにする。しかし有名な教会でありながら、「スクリーンにプリントして修復中をごまかす状態」は、「観光都市ウィーン」としてはつらいところだろう。外に出ると、何だか動物園のにおいが。…と思ったら、馬がいる。ここは馬車の駐車場か??もちろんチェコと同じく観光用である。

シュテファン大聖堂は馬車の停留所 至る所にいる馬車

時刻は夕方5時を過ぎ、オペラ鑑賞のため着替えるために、一旦ホテルに戻る。
出国前「どんな服装で行くべきか?」ちょっと悩んだが、バルコンは元来貴族の社交場。トラム

「カジュアルすぎず、フォーマルすぎず」で、みのむちくんはスーツ、私は会社に行く時より、ややきれい目のファッションにした。それでも、いかにも「今からオペラに行きます。」と言って歩くようなもので、さすがのモーツァルトも今は売り込みにこない。(笑)

さて、座席は事前に予約してあるものの、チケットを受け取る必要がある。売り場を探して、オペラ座周辺をうろうろするが、結局分からず劇場の窓口に向かう。

メールをプリントアウトしたものを見せると、「楽しんでくださいね。」と、1分もかからずチケットを渡される。その手馴れた様子では、公式サイトから購入している人が多いのだろうか?

開演までには時間があるので、オペラ座の併設ショップに入る。しかし特別欲しいものもない上に、結構高いので、何も買わなかった。(店内ではスリが多発しているらしく、「注意してください」と、日本語で書かれている。)

やがて、開場時間になり、会場に入ることにする。正面には街頭ビジョンがあり、今日の演目「PIQUE DAME」(スペードの女王)と表示されている。(これは街頭ビジョンで、上演中は外の人達も見られるよう中継されるらしい。)

オペラ座 ホテルブリストル

ところで先ほどからオペラ座、オペラ座と書いているが、正確にはウィーン国立歌劇場、ドイツ語では「Wiener Staatsoper」と言う。名だたる指揮者が音楽監督を務め、世界最高の歌劇場と言われている。その幕開けは、1869年モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」だったとか。

オペラ座中庭 オペラ座入り口

いかにもヨーロッパを思わせる重厚で豪奢な雰囲気は、ネオルネサンス様式の装飾らしい。そして、5ツ星ホテルの如く、至るところに案内のスタッフが配置されている。ちなみに今回、予約したバルコンは相撲で言えば桟敷席のようなもの。定員5〜6人の個室がいくつも並んでいる。バルコニーから舞台を見下ろす形になるのだが、現実的なことを言うと、肘ついて見てられるのでラクだったりする。(笑)

正面の階段 バルコンに通じる通路
場内の様子 バルコンがならぶ

 開演までまだ時間があるので、カメラを持って、場内をフラフラと見て廻る。(何気にワグナーの像を発見。)売店すら豪華に見え、建物内に入るだけでも一見の価値があると思うが、カジュアルすぎると肩身が狭い思いをするかもしれない。

ワグナーの像 オペラ座内
オペラ座内 やがて満席に

そして今日の公演プログラムを買って戻ると、いつのまにか場内は満席となっていた。19時30分。いよいよ開幕だ。