進化するサボテン(2日目・ガラパゴス・サンタクルス島)

3時ぎりぎりでホテルに戻ると、もうガイドが迎えにきていた。これから向かうのはダーウィン研究所(Charles Darwin Research Station)。進化論で有名な自然科学者チャールズ・ダーウィンの財団によって、ガラパゴスの野生生物の保護・調査を目的に、1964年に設立された生物研究所である。

車窓から見たプエルト・アヨラの街 ダーウィン研究所
ダーウィン研究所の看板 同じく案内図

私は「年取ったカメだけじゃなくて、もっと若いカメも見たい。」と言ったが、どうやらこの研究所にいるようだ。だが、私の目に入ったのは、たくさんののそ〜〜っとしたゾウガメ。しかも甲羅は割れているし、全部年寄りでいまいち覇気がなく、なんだか養老院の見学に来ているようだ。そして「若いカメ」は、人間で言うと、まるで1歳にも満たない赤ん坊のよう。かわいいが、このえらく両極端なのは、何とかならんのか?(苦笑)

うごきはまるで老人のよう 年をとったカメ
子どものカメ 子どものカメ

しかし、この研究所にいる300匹のカメのうち、15頭しかオスはいないらしい。(かの有名な「ロンサム・ジョージ(左下の画像)」も、その15頭のうちの1頭である。)ちなみにカメは、産卵された時点では、オスかメスか決まっていないらしい。その後、ふ化までの温度によって、どちらになるか決まるらしいが、やはりメスの遺伝子の方が強いのだろうか?

ロンサム・ジョージ ふ化を待つカメの卵
脱皮したカメの甲羅 展示物

そして、私がこのサンタクルス島に到着してから、おそらく一番多く見ているのがイグアナ。
ガラパゴス諸島には陸イグアナと海イグアナがいる。陸イグアナは見た目は怪獣だが、とてもおとなしく主食は植物(サボテン等)。そして、生息数が少なく、手厚く保護されているので、限られたポイントでしか見ることができないらしい。(黄色いのが「陸イグアナ」)

陸イグアナ 進化するサボテン

…と言うのも、サボテンもまた、食べられまいと背を高く、まるで木のような形態へと進化した。高いところに登れない陸イグアナは、サボテンの木の下で、ひたすら花や実が落ちてくるのを待つが、どんどんエサはなくなっていく。

そこで、エサを求め海へもぐり、強い海流の中でも岩にしがみついていられるよう、爪が長く強い海イグアナへと進化した。海イグアナは諸島内全域に生息し、場所によって、大きさや色が異なるらしい。さらに最近、ハイブリッド…陸も海でも生息できるイグアナが生息しているらしい。なぜガラパゴス諸島だけがそんな進化が起きるのか?…「私に聞かないで。」って感じである。(笑)

進化するサボテン このような状態に…
怪獣のような海イグアナ 海イグアナ

そんなガラパゴスの象徴のような動物だが、実は私はあまり爬虫類が好きではない。一応写真に撮ったが「この人、あまり好きくない。。。」とぶつぶつこぼしていた。「爬虫類・両生類以外の動物を見たい」…と言うのが本音である。

ダーウィン研究所の見学が終わると、本日のツアーは終了となる。ちなみに研究所は、行っても行かなくてもツアー料金は同じらしい。(ガラパゴス諸島が2回目なら、パスしてもよさそうだ。)それで協力隊員のメンバーは、近くにある「JICAの事務所に行きたい。」というので、一緒に寄ることにする。この事務所は、もうまもなく1月中旬で終了するそうだ。

JICAガラパゴス JICAガラパゴス内
これをつるしておくとはちどりが来るらしい よく分からない植物
この植物は日本と似ているかも? 木に止まっているガラパゴスペリカン

その後、おしゃれなアクセサリーや小物が多いと言う近くのみやげ物屋に寄る。妹達は去年もこの店に来たらしいが、私はカメとイグアナがあまり好きでないので致命的である。

さらに「いかにも高級店」という店にも寄る。こちらも観光客相手のお土産物屋だが、ちょっとした織物が日本並みの価格で売られている。日本並み…ということは、物価1/5のエクアドルではかなり高額。そこで妹、ニットの帽子を買おうかどうか悩む。

土産物屋 お土産物屋

私は近くの土産物屋で、アオアシカツオドリのマグカップを発見。かわいいのでみのむちくんとペアで買おうかどうか悩むが、とりあえず後でまた考えることにする。(これがまた後日、後悔を生むことになる。海外旅行時においては「気に入ったものがあったら、迷わず買え!二度と同じ店に行けると思うな!どこでも買えるとは思うな!」が鉄則である。)

1つ15ドルなので、かなり高め 墓場

一旦、ホテルに戻り、しばらくしてから夕食に行くことになる。夕食は屋台で…という話になるが、去年妹達がおいしかった店は、どうも閉店したらしい。適当な店に入り、鶏肉や豚肉、牛肉を焼いたものを頼んだ。豚肉が一番おいしく感じたが、かなり野菜不足のメニューである。

屋台がある通り 屋台の焼肉
さまざまな店 ガラパゴスペリカン

そして夜9時頃、ホテルに帰ってシャワーを浴びる。驚いたのが、インターネット接続可能だと言うこと。ホテルには「WiFi」と書いた部屋があり、そこにパソコンを持っていっても、まるでつながらなかったのであきらめていた。しかし、部屋に戻ってパソコンを立ち上げると、日本よりかなり回線速度が遅いながらもつながるではないか!テレビも冷蔵庫もない部屋なのに驚きである。

ところでエクアドルでは、トイレでトイレットペーパーを流してはいけない。配管が細いから詰まるらしく、必ずごみ箱が置かれているのはそういう理由である。普段、習慣にないことは本当に忘れがちだ。

さて、今日は朝5時起きだったが、明日もまた6時ごろの起床。まだまだ寝不足の日々が続きそうである。





ペンギンを発見!!(3日目・ガラパゴス・フロレアナ島)

ガラパゴスペンギン2日目の今日は、フロレアナ島(Floreana) 上陸観察ツアーの日。

ガラパゴス諸島の南に位置し、諸島の中では最も小さい島。人口は100人程度とかなり少ないが、諸島の中では最も早くから人間の入植が進み、「家畜や農作物などの外来種が、生態系に大きな影響を与えている。」と言われている。

実はこの島には、ガラパゴスペンギンというペンギンがいる。ペンギンは通常、南極等の寒冷地に生息するが、世界で唯一、熱帯地域に生息する。(右の画像がガラパゴスペンギン)

ガラパゴス諸島で絶対見たかった動物である。数が少なく、海にいる事が多いので見つけにくいようだが、運がよければ見られるらしい。

今日は6時起床。昨日よりは1時間遅いだけマシだが、それでも早いことは確かである。そして7時に、ホテル内のレストランで朝食を食べる。「アメリカンか、コンチネンタルブレックファーストか?」と思っていたら、申し訳程度のスクランブルエッグが出てきた。エクアドルの卵は、「生では絶対食べられない。」と聞いていたが、すごい完熟である。

さらにジュースは「マンゴーかな?」と思うような味だが実はトマト。2メートルぐらいの木になるらしい。そのままではとてもすっぱくて食べられないので、皮をむいて、水と砂糖と一緒にミキサーにかけてジュースにするらしい。砂糖をかなり入れてるらしいが、とてもそんな風に思えない。

このジュースは実はトマト! スクランブルエッグ

部屋に戻り、出かける準備をしていると、なんと集合時間の10分前にガイドが迎えにきた!こういっては何だが、予定表の「8時ごろ集合」は、エクアドルでは「8時過ぎ」かと思っていた。(苦笑)慌てて部屋を出て、ロビーへと向かう。今日は遊泳ができるらしいので、服の下に水着を着ている。ホテルを出て向かった先は港。すぐ近くなので、歩いていける距離である。

フロレアナ島には船で向かうことになるが、今回は、9月に乗船したような豪華客船ではない。15人も乗ればいっぱいになり、漁船とあまり変わらず、いわば遊覧船に毛の生えたようなもの。(設備もなんだか漁船っぽい。)ツアー料金から考えると「そんなもんかな。」と思うが、やはり船は大型に限る。なぜなら小さな船は、停泊している間が最も大揺れし、乗ってるだけで気分が悪くなりそうだ。

出発を待つ 港から出発する

そして出航となり、フロレアナ島に向かって進んでいく。いわゆるスピードボートか?大きな水しぶきをあげ、後方部分が沈むように傾く。今日も日本からの旅行客が一緒で、どうやらファイブスタークラブのツアーらしい。年配のご夫婦で、ペルーにも旅行したことがあり、有名なマチュピチュの遺跡では標高が高く、奥さんが高山病になって大変だったらしいとか。あとカメラの話などをしていた。

サンタクルス島を出発して、2時間ぐらい経過した頃、フロレアナ島が見えてくる。しかし、一向に到着する気配もなく、30分を過ぎた頃だろうか?そろそろ気分が悪くなりそう…と思ったところで到着した。

水しぶきがすごい またもや海イグアナ

「ここではカメラだけもって、船に乗り換えてください。」と言われる。モーターボートから、ボートに乗り換え、上陸したのはまたイグアナがいる島。そこからさらに、木製の客席を設置したトラックに乗り換える。周りは何もなく、人の姿もなく、どこに行くか?もさっぱり分からない。(写真だとよさそうに映ってるかもしれないが、実際はどうということもない場所である。笑)

途中、トイレ休憩のためにレストランらしきところに寄ったが紙はない。(エクアドルではそのようなところが多いらしい。)「カメラだけ。」と言われたが、カバンごとを持ってくればよかった。…と言うか、誰もいないし、これって本当にレストランか?

誰もいない島 誰もいなさそうな建物
このトラックで移動する レストラン??

それにしても、時刻はまだ昼前だと言うのに、どうしてこんなにお腹が空くのだろう?早朝から起きているせいか?はたまたホテルの朝食のパンが、スカスカでボリュームがないからか?普通の食パンの半分ぐらいの大きさしかないからか?

さらに山奥に向かうと、ゾウガメがたくさんいる。ここのカメはダーウィン研究所に比べて活発で、しかも甲羅がきれいだ。(違う種類らしい。)木の実を食べているのはなんだか愛嬌がある。私は爬虫類とか両生類が好きではないが、ちょっと「かわいいな。」と思い、一緒に記念撮影を撮る。しかしカメたちは、全く我関せず。ものすごく接近するとちょっとおびえるが、基本的には人間をそんなに恐れてはいない。

山道を行く フロレアナ島のウミガメ
甲羅がきれい 木の葉を食べている
島なのに山の中?? 北海道の景色に似てるかも?
北海道に似ている 洞窟もある

そしてこの風景はまるで北海道のようだが、生息する動植物は全く日本とは違う。(ツアー内容を見ると、「フロレアナ島内部のゾウガメの産卵地」「海賊の住んだ洞窟見学」ということらしい。)それにしても、いつもの旅行は街中が多いが、今回は岩場や足場の悪いところだらけ。スニーカーで来て正解である。

真っ青な海と空 不思議な岩
不思議な岩 これまた北海道のよう
またまた北海道のような景色 エクアドルの植物
よく見ると日本の植物と全く違う 不思議な植物

時刻は13時過ぎ。「そろそろお腹が空いたなぁ。」と思ったら、このツアーではレストランではなく、船の中で食べるらしい。再び、元いた船に戻る。真ん中にテーブルを置き、お弁当のようなものを渡される。この大揺れの船内で食事なんかして、気持ち悪くならないだろうか?

岩場から コレは何?!
不思議な岩 スピードボートに乗って食事

ふたを開けると、小海老のクリーム煮と、ご飯とじゃがいもが、無意味にでかい弁当箱に入ってる。そういえば昨日、「チキンと魚と海老」で、どれがよいか聞かれたような気がする。そして、ブロッコリーとにんじんのサラダ。どうも野菜が不足している気がするので、たくさんとった。小海老のソースを絡ませて食べると、まずまずおいしい。米は日本の方がおいしいと思うが、じゃがいもはエクアドルのものもなかなかいけるなと思う。

弁当らしい 野菜サラダ

ところでこのツアーでは、英語とスペイン語、それぞれのガイドが乗船してるが、妹たちをはじめ、同行したメンバーは皆、スペイン語が堪能だ。それで「スペイン語でお願いします。」なんていう外国人は珍しいようで、エクアドル人のガイドは、すごく嬉しそうに話している。

そして妹に「姉妹?似てないね。」と言ったようだ。私と妹は雰囲気が全く違うので、よく「似てない姉妹」と言われる。しかしそうですか、外国人から見ても似てないですか〜〜。(笑)そして、「そのカメラ(私のデジタル一眼のこと)、いくらするの?」には買い値でも言いづらい。なぜなら、エクアドル人の平均月収の半年分に相当する。

ガラパゴスアシカ ガラパゴスペリカン

昼食後、船は移動し、海の真ん中で停泊する。ここは遊泳できるようだ。しかし、水深10メートル以上ありそうで、ほぼ「泳げない」に近い私は、このままでは絶対泳げない。ライフセーバーを借りて泳ぐことにする。一度水中を見ると、透明度はかなり高く、水族館のような魚が泳いでいる。しかし、水は冷たく、波は結構荒い。泳げない人間には恐怖である。「バカな。」と思われるかもしれないが、ライフセーバーをつけていても「沈むんじゃないか?」と思ってしまう。

さらに船が移動すると、ガラパゴスペンギンを発見!

ガラパゴスペンギン発見!!! ガラパゴスペンギン
ガラパゴスペンギン アシカの子どもはとてもかわいい!!

もともとレア度が高い上に、このフロレアナ島にはあまりいないらしいから、ガイドも「多分見られるだろう。」としか言わなかったのでラッキーである。そして、アシカもたくさんいる。(右上は知らず知らずに撮影した子供のアシカ。見ていると心が和むので、しばらく職場のパソコンの壁紙にした。)さらにこの近くでも遊泳できるらしいが、あまりに水温が低いのでやめる。エクアドル隊員達は元気だが、私は基本泳げない。

アオアシカツオどり 遠ざかるフロレアナ島

ツアー終了後、ガイドに5ドルずつチップを渡したが、英語ガイドのコロンビア出身のステファニーには何も渡さなかった。なぜなら、途中から全くやる気がなく、仕事してなかったからである。私も中途半端にしか分からない英語を聞くよりは、妹達からスペイン語を訳してもらう方がラクで、英語ガイドの存在価値が全くなかったせいもあるが。

下船すると水着のまま、一旦ホテルに戻ることにする。船内にはトイレがあり、そこで着替えることもできたが、シャワーまではない。それで海から上がった後はそのままでいるしかなく、妹の靴はびしょぬれになる。このへんは塩分の濃度が高いのか?海水のせいでべたべたする。

カメラも海水でぬれたので、さっと水道で洗う。防水仕様なので、多少なら大丈夫なはずだが、なんだかシャッターが言うことを利かない。勝手にシャッターが下りて、プレビューできない状態になる。どうしたのだ??

ホテルの客室から見た景色 イタリアンレストラン

今日の夜は、ちょっとこじゃれたイタリアンレストラン。店内の雰囲気はよいが、値段はガラパゴス諸島にしては高い。(…ということは、エクアドルの物価にしてはバカ高である。)経営者はイタリア人らしいが、ピザはイタリアと言うよりアメリカ寄り。パスタはまずくないが、「アルデンテ」じゃなくて柔らかすぎだ。(噂によると、世界でアルデンテを忠実に守っているのは日本とイタリアだけらしい。)

残念ながら写真はないが、一番おいしかったのは、「セビッチェ」(マリネのようなもの)だろうか?しかしそれは南米特有の料理。「やはりなんちゃってイタリア料理なのだな。」と思いつつ、それでも1人20ドルも払わなかったような気がする。

ピザ サラダ
カルボナーラ デザートのムース

その後、妹は一緒に来た隊員の人達と飲むようだが、私は疲れたのでホテルに帰って寝ることにする。
またかなり回線速度は遅いが、ネットがつながるので、メールなどをチェックした。ちなみに少々イカれたカメラは乾燥して水分がなくなったのか?正常に戻る。防水とはいえ、やはりあまり水にさらしてはいけないらしい。