キト市内を行く(6日目・キト)

朝6時30分起床。

昨日寝たのが11時30分過ぎなので、この旅行中ではかなり休んだ方である。しかし朝から息苦しく、パジャマではちょっと寒いので、すぐに着替えた。(高山病復活か?)

まずパソコンを立ち上げて、ネットがつながるか試してみたが、やっぱりうまくいかない。まあ…こんなもんだろう。

またしばらく旅行記の続きを書くことにする。ガラパゴスツアーは、日本の旅行会社ほどせわしくなかったが、自力でないせいか?いつもより記憶が薄いところが難点だ。

7時30分を過ぎたところで、お腹が空いてきたので、化粧をして2階にあるカフェテリアに向かう。しかし何もない。「(日本で言う)1階が、0階表示の国もあるし。」ともう1階上がったところでカフェテリアを発見する。

ホテルの廊下 レストランの中にもクリスマスツリーが

しかし誰もいない。今は朝8時だから、間違いなく朝食の時間のはず。
ほんとにここか?

…と、もう一度ドアの看板を見たが間違いない。しかし、誰も来ない。「どうしようか…」と思っていたら、ホテルの従業員らしき人が現れる。そしてパンを出し、コーヒーのためのお湯を沸かし、準備を始めた。

卵料理はまたまたスクランブルエッグで、どうやら電子レンジで作っているらしい。ガラパゴスのホテルよりおいしいが、これなら私の方がうまく作れそうである。そしてジュースは、後ろから見ていると、恐ろしいほど砂糖を入れている。(しかし、これでも味は普通なところが、これまた恐ろしい。苦笑)しかし、先ほどからお客はずっと私ひとり。1月2日だから暇なのだろうか?

他に客は誰もいない ホテルの朝食

やがて男性が1人やってきたが、どうやら従業員のようだ。この人は英語が話せるようで、一応HPの公約どおり、このホテルは英語が通じるということになる。(ただし流暢かどうかはわからない。苦笑)結局、お客は私1人だけで、コーヒーを2杯、クロワッサンを2つ食べて、カフェテリアをでる。

まだエドウィンと妹が来るまで時間があるので、再び旅行記の続きを仕上げることにする。そして、9時ほんのちょっと過ぎた頃、ロビーに行くが、まだ誰も来ていなかったので、ソファに座って待つ。9時を10分ぐらい過ぎた頃、ホテルの前に1台の車が止まる。どうやらエドウィンが来たらしい。

ホテルのフロント フロントにあるソファ

「キトはどう?」と聞かれたので、「空気が薄いね〜〜!」と答えた。そして私に「プレゼント。」と言って、紙袋を渡したので、私もメモリースティックを渡した。すると「いくら?」と聞かれた。ラテン系の場合、調子よくごまかしそうだが、エドウィンは本気で払うつもりのようだ。相変わらず律儀だ。 エドウィンからのお土産

でもお土産をもらったので、「いいよ。あなたへのプレゼント。」と答える。(エドウィンからもらったお土産は、エクアドルの歴史をかたどったチェスで、それぞれのコマがとても特徴的で面白い!!)

ちなみに私は、このメモリースティック(4GB)を3600円ぐらいで買ったが、エクアドルではなんと!100ドル(約9100円)するらしい。関税とマージンを取りすぎである。(日本国内では、どんなに高くても(当時)5,000円ぐらいで買える。)

そして「妹はまだ到着していない。」と言うと、携帯に電話してくれた。どうやら渋滞に巻き込まれ、バスがなかなか進まないらしい。9時15分ぐらいになって妹が到着し、昨日洗濯してくれた服と私が貸していたバッグを受け取り、エドウィンからのお土産を部屋に置いてホテルを出る。

行き先は海鮮系のレストラン。「お茶しに行こう。」と言ったはずなのに、エドウィンはまだご飯を食べてないらしい。(しかも途中で銀行に寄って、お金を下ろしてごちそうしてくれた。)妹は海老、私とエドウィンは白身魚(鯛らしい)のフライを注文する。うまいのだけど、こんなことなら朝からクロワッサンを2つも食べるんじゃなかった!!

エドウィンの車で移動(助手席に座っているのは妹) フィッシュフライ

そして「(妹とエドウィンの)職場に行きたい?」と言うので、「見られるのなら。」と答えた。(妹の職場は、日本でいう職業訓練校で、JICAからの支援を受けている。)今日は休校で誰もいないけど、中には入れるようだ。それにしても…この看板にはエクアドルと日本の国旗が書いてあるのに、なぜ生徒は日本の場所すら知らないのか?

職場の入り口 妹の職場
妹の職場 妹の机

妹は「毎日通ってる職場に、ねーちゃんが来てるのすごい不思議だ。」と言う。確かに…私もメールや日記で、色々話に聞いていた職場が目の前にあるのは、何だか不思議だ。さらに実習場も見たが、教材に使用する車のエンジンは、JICAからの支援で日産オンリーなようである。実習場にはエドウィンの部屋があり、妹とカウンターパートとはいえ、普段はほとんど一人でそこにいるらしい。「他の職員はろくでもないヤツが多いので、付き合いたくない。」という妹のスペイン語訳だがホントか?!(笑)

実習場 教室
エドウィンの部屋 実習場
実習場 キト市内を行く

その後、エドウィンは「パネシージョの丘(Cerro de Panecillo)に行こう。」と言う。それって………確か、強盗が出ることで有名な場所では?!ちなみに「地球の歩き方」で、「キトで必ずと言っていいほど強盗が出没する」と書かれているのが、パネシージョの丘とバスターミナル。だから頂上まで徒歩30分ぐらいでも、「絶対歩いて行ってはいけない。」とある。だが、妹は「昼間で、エクアドル人が一緒ならば大丈夫。」と言う。(もちろん私たちもエドウィンの車で移動している。)

さらにその途中で通ったのが、これまた治安の悪いと言われている旧市街。セントロ(Centro)と言い、ユネスコの世界文化遺産として1978年に登録されている。400年前のスペイン統治時代の街並みが残っており、夜はライトアップされて、とても綺麗らしい。

しかし「一本裏に入ると真っ暗で、確実にやられる。ここでは裏通りに入らないに限る。」と書かれている美しくも恐ろしい場所。特に今の時期は観光客も多く、写真撮影すら控えた方がよいところもあるらしい。

そして、このセントロには泥棒市があり、エドウィン曰く「なかなか面白いものも売っているが、警察と泥棒は友達だ。」という。(…泥棒市なので、ほんと笑えない。)ともあれ 「キトは安定して治安が悪い。」と言う意見もあり、ガラパゴス諸島からキトに戻った途端、南米の本性が見え隠れしているようだ。

セントロを通る パネシージョの丘を登る
丘の上から 丘に立つ聖母像

パネシージョの丘は「徒歩30分」と言うだけあって、車でもかなり登ったところにある。360度、キト市内を一望でき、四角く形取られた街並みが見える。(「セントロ」と、新市街「ノルテ」(Norte)、それぞれの顔を一望できるとあったが、いまいちわからず。)夜景はさらに美しいらしいが、丘までの道は死角がありすぎて、「強盗が出るのも無理はない。」と思った。

しかし、ちょっと小走りしただけで息が上がるので、ミネラルウォーターを買う。高山病予防のためだ。まだそんなにひどい症状は出てないが、逐一空気が薄いことを感じてしまうのである。(それもそのはず、この丘の標高は、市内よりさらに200メートル高い。)

丘からの景色 丘からの景色
土産物屋 聖母像

さらにこの丘には1975年に完成された聖母像があり、中に入ることができる。各国からプレゼントされた人形が展示されているようである。(しかし、妹が「チェコスロバキアからだ!」と言った時、「違うよ。チェコだよ。」とエドウィンに指摘されているのがおかしかった。よくそんなマイナーな国のことを知っているものだ。)ほとんどがキリスト教にまつわるものだが、日本からはなぜか「かぐや姫」。きっとキリスト教国ではないからだろう。

イタリアからの贈り物か? 各国からの贈り物
日本からの贈り物「かぐや姫」 各国からの贈り物

ところでエドウィンと会うのは2度目だが、やはり妹といる方がリラックスしているようだ。まるで、やんちゃな弟と姉のように見える。(笑) 妹やエドウィンの職場の校長は(彼ら曰く)最悪の人物らしいので、「もうすぐ殺すから。」とか、妹は日本にいた頃、猫を飼っていたのだけど「もう死んでるよ。だから、エクアドルに住んだらいい。」とか、「みのこも会社を辞めて、エクアドルに来たらいいよ。」と言うので、妹が「でも、ねーちゃんにはだんなさんがいるよ。」というと、「そんなんどうでもいいじゃん。」と言いたい放題である。聖母像の中(しかし私も、「ああ。会社をリストラされたらね。」というあたりが適当だ。笑)

それにしても、私はスペイン語が分からず英語と日本語、妹は英語は分からず、スペイン語と日本語、エドウィンは日本語が分からず、スペイン語と英語。つまり3人共通の言語がなく、日本語、英語、スペイン語の3ヶ国語ミックスの会話である。

帰国後、エドウィンは「みのこは充分英語をしゃべれる。僕は時々分らなかったよ。」と言ったらしいが、私のあんな適当な英語で「十分喋れる」と思えるとは……、キミの英語力はまだまだだ。(笑)

しかし彼のおかげで、思いがけずキト市内をあちこち見ることができた。しかも、食事代とかパネシージョの丘の入場料とか、駐車場代まで出してくれたのである。

エドウィンは、1、200ドル程度のお金はポンと財布から出るらしいから、決して貧乏ではないだろうが、エクアドル人の平均月収は300ドル程度。私が(エクアドルで)100ドルもするものを、ポンとプレゼントしたからかもしれないけど…エドウィン、キミはいいヤツだよ。(彼の趣味は、全く全く理解できないが…。笑)





エクアドル人宅でお好み焼き(6日目・キト)

さて午後からは、妹達の上司・副校長のウィリーさん宅にお邪魔することになっている。(どこの社会でもそうだが、bPが最悪だと、bQがよい人物だったりするようだ。)私が日本から来ると言ったら、「ねーちゃん連れて遊びにおいで」って言ったらしい。「お好み焼きを一緒に焼こう。」と。

もちろんエクアドルにそんな料理があるわけではなく、いわゆる日本の「お好み焼き」のこと。
ウィリーさんはお好み焼きが好きで、妹が「大阪に住んでいた。」と言ったら、うちで奥さんに教えてほしいらしいのだ。そんなわけで、日本でしか買えそうにない干し海老や天かすなどをお土産に持ってきた。しかし…、正月にお好み焼きの材料を持って、エクアドル人宅に行く日本人は私ぐらいのものである。(笑)

キトの町並み メトロバス改札

妹が「エドウィンも一緒に行く?」と言うと、それはイヤらしい。さすがに上司の家は気を使うのだろう。でも、ウイリーさんと待ち合わせの駅まで送ってくれた。「12時ごろに行く。」と約束したわりには、すでに40分ぐらい過ぎている。(妹が一向に連絡しなかったところを見ると、あまり時間を気にしないのか?)

ウイリーさん宅はメトロバスに乗って、ちょっと歩いた閑静な住宅街にあるらしい。(職場までは1時間かかるので、毎朝7時前にはうちをでるらしい。ただし管理職なので、15時には仕事は終わるようだ。)

メトロバス車内 ウイリーさん宅近く

同じ年の奥さんと20歳のお嬢さんの3人家族。ウイリーさんは愛妻家で、とても奥さんを大事にしているようだ。そしてペットはフレンチプードルで、お嬢さんは「私のべビィ」と、とてもかわいがっているらしい。(ウイリーさんは「私のように大人しい。」と言った。笑)ウィリーさんご一家

そして妹に、「任期をあと半年延長する手続きをしないとね。もし住むところがなかったら、うちは広いからここに住めばいい。」と言う。(ウィリーさん宅もまた、エクアドルでは裕福な家庭である。)

しかし妹は退職したのではなく、現職で休職してエクアドルに来ている。だから、どうあっても任期の2年で帰国しないといけない。

ウイリーさんは、海外あちこちで研修を受けた経験があるようだ。大阪や八王子にも滞在していたことがあり、ある時、浅草に行きたかったらしく、道を教えてもらっていたのだけど、新宿についた途端、すっかりわからなくなったらしい。(東京の地下鉄は複雑で、日本人でも迷うのだから当然だ。よく私も道を聞かれる。)

さらにドイツでも勉強したことがあるらしい。しかし、最初のうちは言葉がわからず、何でも「Yes」と答えていて、「ドイツに来て満足しているか?」と言われて「Yes」「エクアドルに帰りたいか?」と聞かれても「Yes」。「どっちだ?!」と言われたらしい。

それで「お好み焼きを教えてほしい。」と言うから、みんなでお好み焼きを作って食べるのかと思ったら、なんと料理が出た。まずスープ、そしてラザーニャとサラダ。味はおいしいのだけど、さっき食べたばかりなので、かなり苦しい。しかしこれは心情的に残せないものがある。そして飲み物はサングリア。かなりおいしい。

さらにティラミスはお嬢さんの手作りで、ラム酒がたっぷり使われていて、脳天突き抜けてくらくらするぐらい甘い。「甘党なの。」と言っていたが、これをおかわりするぐらい食べられるとは…。こんな激甘なものを食べているなんて将来が心配だ〜〜。今は天使みたいにかわいくてきれいなのに。

ウィリーさん宅のクリスマスツリー クリスマスのディスプレイ

食事を終えたところで、妹がお好み焼きの作り方を教え始めるのだが、なんと豚肉がない!…というか、肉類が用意されていない。妹はベーキングパウダーを持参しており、日本から持っていた干し海老、干しいかを食べても大丈夫そうだったので、それと天かすを入れて作ることにしたらしい。

お好み焼きソースもまた私が日本から持ってきたもの。「肉料理に合いそうね。」と結構気に入ってくれたので、ホッとした。(このソースは私の地元の会社で作られたもの。色んな人においしいと喜ばれたが、実は日本国内にもあまり流通していないレアな商品である。)

台所でお好み焼きを作る 奥さんと妹

時刻は17時過ぎとなり、そろそろうちを出ることにする。ウイリーさんはお土産に、妹には職場のロゴ入り帽子、私には竹でできたからくり箱のようなものをくれた。(スペイン語でも英語でも竹は「バンブー」らしい。面白い。)ウイリーさんとはここで別れ、奥さんとお嬢さんが送ってくれるらしい。

ウィリーさんからのお土産 メトロバスの停留所

奥さんとお嬢さんと一緒に、メトロバスでセントロまで来て、ラ・メルセー教会(Igiesia de Convento La Merced)の中をちょっと見学する。ガイドブックには、「1700年から42年の歳月をかけて作られ、金ぱく張りの木彫刻が細部に渡ってほどこされている。」とあり、確かに写真映えもする。

だが、もしキトで、1つだけしか教会に行けないなら、ここでなくてもいいんじゃないか?と思う。しかしなぜかここで、ガラパゴス諸島のツアーで会った熟年夫妻に再会。ガラパゴス諸島から日本へはキトを経由しないと帰国できないので、ありえないことではないがビックリである。

ラ・メルセー教会 教会の内部
教会の内部 教会の内部

教会内はデジタル一眼で撮影したが、外観は…。ちょっと迷ったが、一瞬だけならいいだろうと思い、撮影してすぐさまカバンにしまった。(例え今、怪しげな人が見当たらなくても、強盗はどこかで狙っていて、人気のないところで襲ってくる可能性があるらしい。)でも改めて写真を見ると、旧市街の街並みもすかさず撮影している。

旧市街の景色 旧市街の景色

ここでウイリーさんの奥さんとお嬢さんとはお別れである。 ラ・メルセー教会 しかし、母国語以外の長時間の会話はかなり疲れる。しかもエドウィンは英語ができるが、ウイリーさん一家はほぼスペイン語。妹の通訳がなければ、言ってることの30%も理解できないが、通訳する妹もかなり疲れるようである。

しかしこのよいご一家とも、「きっともう2度と合えないのだろうな。」と思うと、「Adios!」という挨拶はちょっと切ない。スペイン語で「さよなら」を表す言葉は他にもあるが、「アディオス」は当分会えない人への挨拶である。