西地中海クルーズ編

2012年9月28日(金)〜2012年10月8日(月)

年始から続く厄難(出発前日まで・その1)

2012年…
人生は時として、とてつもなく運命的だ…。

今年は年始から、仕事もプライベートも大荒れで、「呪われている」としか思えないぐらい災難続き。
最も最悪なのは、訳あって、この10年間一切かかわりを持たなかった母の突然の死…。その母の遺したものは「呪い」でしかなく、私と妹には「人生最大の危機(厄難)」が訪れた。そして、もはや自分たちの手には負えず、生まれて初めて、法律の専門家である「弁護士」と委任契約を結んだ。

だが、私にはあまりに抱える問題が多すぎて、精神的にも体力的にも限界に近かった。今年(2012年)はまだ半年も経ってないのに、今まで生きてきた中で最悪だと思う。「病気になるよりいいんじゃない?」と言われたこともあるが、「う〜〜ん。」としか答えられなかった。このストレス満載の状態が、近い将来深刻な病気の元となりそうだからだ。ロイヤルカリビアンのリバティ・オブ・ザ・シーズ号
(*そして2013年の3月、命に係わらないが「手術が必要」と言われる状況になっている。それでも「2013年の方がマシ」と思えるぐらいこの時は最悪の状況だった。)


そんな波乱で最悪の始まりだった2012年。
プライベート(実家)のことがやっとちょっと落ち着いてきた5月上旬のころ…。
みのむちくんは「ヨーロッパクルーズが安いよっ!」と言った。

いつもの渡航時期(9月末)で、「東地中海クルーズ7泊8日(寄港地はスペインやイタリア)」だと、MSCクルーズはバルコニー付のキャビンで1人1300ドル(約10万8000円ぐらい)らしい。(5月だと700ドル程度とさらに安くなる。)

「でもね〜、ロイヤルカリビアンだともっと安いよ。1人1000ドル(約83000円)。」

「だけどね、また“リバティ・オブ・ザ・シーズ”になっちゃうんだよ〜〜。」と。

言わずと知れた2008年のカリブ海クルーズで乗船した船である。しかし「クルーズもいいかもな〜〜。」と思った。今年は嫌なこと・最悪なことばっかり起きてるから、大好きな南欧で、そのぐらい浮世離れしたこと(クルーズライフは、毎日がイベントのようなもの)をするのもいいかと思った。いつもなら割高なヨーロッパクルーズも、ドル建てでしかも円高のおかげで、とても安く感じる。

クルーズで繰り広げられるショー 船内のロイヤルプロムナード

7月上旬〜中旬

夏の声が聞こえ始めるころから、私の体調はいまいちな状態ばかり続いていく。
(正確には眠いのだけど)何で毎日こんなにだるいのか?しかし、それでもみのむちくんには「早く航空券を押さえないとなくなっちゃうよ。今はみんな、ロンドンオリンピックに気が行ってるから、あんまり気にしてないかもしれないけど。」と言った。

もし、本当にクルーズに参加するなら、行先は必然的にバルセロナとなる。…となると、エールフランスか、中東系キャリアか?エールフランスでいくなら、出航当日着でも絶対間に合う時間に到着するはず。(旅行会社は決していい顔をしないだろうが。)

船長主催によるオープニングレセプション 中東系キャリアを調べてみると、エミレーツ航空はバルセロナ12時着。カタール航空は14時着。クルーズの出航時間は大体、17時か18時ぐらいで、チェックインは2時間前だろう。

…となると、カタール航空はキツいので、中東系を利用するなら、またまた必然的にエミレーツとなる。ちなみにエティハド航空は行きたい曜日に運行しておらず、意外に使えない航空会社である。

そんなわけで、みのむちくんはエミレーツ航空バルセロナ行きの航空券を予約したらしい。クルーズの予約はまだだけど、これで夏休みの旅行先は自動的にスペインとなる。もちろん、エールフランスが一番便利だが、エミレーツ航空の方が15,000円も安く、フライトの時間も都合よくて、ドバイ国際空港での待ち時間も最大3時間なので悪くないと思った。

そして、エミレーツ航空のバルセロナへの就航は実は今月からで、日本〜ドバイ間は初A380搭乗となる。しかも知らない間に毎日就航してるし。(2年前の成田便は、確か週に5便だったと記憶する。)それにしても……22時出発の日と、21時40分出発の日があるのはなぜだろう〜〜?

だが今回はドバイは素通り。だけど帰りの空港で、アルナスマとパッチのチョコレートを買おう!と思った。(ドバイ国際空港はこれで4度めになるから、勝手知ったる…である。) そして、やっぱりバルセロナ発ロイヤルカリビアンの西地中海クルーズか?燃油サーチャージなどの諸費用を入れても、7泊8日で1人1000ドル。自力で同じルートを移動・宿泊するよりずっと安いのである。

ただ、出航当日に到着するスケジュールなので、みのむちくんは飛行機の遅延を気にしているが、現地到着は出航の5時間前。よほどのことがない限り、乗り遅れないだろう。(ドバイ国際空港は、恐ろしいペースで離発着してるわりに、さほど遅延した記憶がない。)今回のキャビン(船室)

だが保険として、少々高くついても、ロイヤルカリビアンのトランスファーサービス(空港から港までの送迎)を予約しておいた方が安心だろう。例え船会社に連絡することができなくても、「到着便が遅れてるんだな。」と言う事情を分かってもらえそうである。

結局、みのむちくんはロイヤルカリビアンの「西地中海クルーズ 7泊8日」に申し込んだ。これでカリブ海クルーズの時と同じ船「リバティ・オブ・ザ・シーズ」に決定である。ただし今回は、船にいる時間は短いと思われるため、「スタンダード海側」と言う下層階の安い部屋にした。

みのむちくんは「プロムナードやスタンダード内側でもいいじゃない?」と言ったが、毎日下船して観光するのに、窓がなかったり、夜か昼かわからなくなるのは困るのだ。

ちなみに、MSCと言う選択肢もあったが、最終日のバルセロナ着が13時で、同日16時発のドバイ行きに搭乗と言うスケジュールはちょっと厳しい。おまけに、寄港地もマルタとか、チュニスとか、行ったところばかりだし。


7月下旬〜8月

体調不良は依然として変わらず、冷たい飲み物しか飲みたくない〜〜。気がつくと私の食事は麺類率が高く、暖かい惣菜は何も食べたくない。風呂はシャワーだけで、湯船につかる気にならず。ことごとく暑いものは避け、何時間寝ても眠い。「やっぱりどこか悪いのだろうか…?」と、日頃の持病はもちろん、人生初の胃カメラの検査を受けたりもしたが、「ただの胃炎」とか、そういう結論しかない。やっぱり夏バテなのだろうか?おまけに風邪まで引いてしまい、超絶不調だけど、仕事も休むに休めず。(涙)毎晩深夜まで放送されるロンドンオリンピックも見ずに寝てしまった。

そして、この状態を延々引きずることになる。(私にはよくありがちだが)さらに風邪から咳喘息を引き起こし、悪化させてしまった。「冷房が効きすぎてもダメ」「暑くてもダメ」「乾燥してもダメ」と言うワガママちゃんな状態。

しかし8月下旬になり、「あっ、ちょっと“体調悪い状態”から脱却してきたか?」と思って、外に出ると、真夏の差すような暑さではなく、秋の気配に変わりつつあった。(猛暑は私の天敵ちゃんなので、気温が下がると調子が戻ってくる。)

それにしても。。一体これは旅行記なのか?闘病記なのか?
船内ではミュージカルも行われる
よくわからないぐらい体調の話ばかり書いているが、6月ぐらいからずっとこんな調子だった。年初の相続問題の心労の反動が大きく出たに違いない。(ちなみにこの問題が完全解決したのは、約4か月後の年末である。)


8月30日

さて、体調が戻ってきたところで、やっと旅行記本来の話に戻る。ある日、ミキ・ツーリスト(クルーズ会社の日本総代理店)からクルーズの最終案内書が届いたが、中の書類を見るとほとんどがコピー。

普通はオリジナルを本人に渡して、コピーを代理店が保管するのではないのだろうか?(2008年のカリブ海クルーズのときはロイヤルカリビアンインターナショナルのオリジナル書類だったし、コピーであってもカラーだった。)

バウチャーもコピーって問題ないのかな?(軽く偽造ができそうだが。。。)おまけに代理店独自に作っているパンフレットは、カリブ海クルーズの時のもので、「寄港地で使用できるのはアメリカドル」なんて書かれている。(全部ユーロ圏だっつーの!)ミキ・ツーリストの経費削減ぶりが如実に感じた。




これは闘病記か?!(出発前日まで・その2)

出発2週間前

そんなわけで、今回のクルーズは9月29日にスペイン・バルセロナから出発して、翌日フランスのトゥーロンに寄港、そして、ニース、イタリアのリヴォルノ、チヴィタヴェッキア、ナポリ、終日クルージングを過ごしたのち、バルセロナ港に戻ってくると言うスケジュール。(今回の旅行代金の内訳はなんだかあっさりしている。)

ガウディーのサグラダファミリア ピサの斜塔

1.エミレーツ航空・往復航空券(成田〜ドバイ〜バルセロナ)  64,750円
2.ロイヤルカリビアンインターナショナル・西地中海クルーズ 7泊8日 995USドル(約80,027円)
3.トランスファーサービス(空港〜バルセロナ港) 31USドル(約2510円)
4.ホテル代(バルセロナ1泊) 71ユーロ(約7,100円)

ちなみに今回の寄港地は、全て食事がおいしい都市で(船内での食事もクルーズ代に含まれているが)朝も昼も寄港地で食べて、「イタリアで、ピザとかモッツァレラチーズとか買い食いしてやる〜!」とか、「オリーブとか、スペイン産のハチミツとか、パルミジャーノレッジャーノ(イタリアのチーズ)とか、アンチョビとか、買ってやるぅ〜!(どれも、日本で買うと高い)」とか、どうも食べることが主体になっているような。。。(ピカソ美術館とか、マティス美術館とか、シャガール美術館も行くつもりだが。)

ローマのコロッセオ ナポリ湾

しかし、旅行の出発日が近づいてきているのに、まだ何もできていない!!…と焦りを感じる。
子供頃は何事も間際にならないと出来なかったが、今は、早めに準備を始めようと思うのは、仕事で突発事故が起きた場合、その対処のために時間を取られるためである。確率的には、そんなに頻繁に起きることではないが、エクアドル行きのとき、「前日は、休んで買い物とか旅行準備が出来るな〜」と思っていたら、突発事故のため、夜7時まで仕事をしていたと言う事実がある。


9月17日

「西地中海クルーズ」の日本総代理店であるミキ・ツーリストからこんなメールが来た。
「誠に恐れ入りますが、9月29日出航のリバティ・オブ・ザ・シーズで日程変更の連絡がございましたのでご案内致します。添付をご確認下さいませ。」

カンヌ映画祭の会場 まさかっ!まさかっ!出発日が変更になったとか?!
(航空券の予約や仕事の都合もあるため、これをやられると、ヘタしたら乗船できなくなる。)

Royal Caribbean International’s Liberty of the Seas 7 Night Western Mediterranean sailing has been modified as detailed below. The affected sail dates are as follows:

ドキドキしながら読むと、「寄港地の1つ、ニースがカンヌに変更になった」とのこと。

なんだ。。。
だったら、「日程」ではなく「寄港地(あるいはクルーズ内容)変更」と書いてほしい。でも、カンヌよりニースの方がよかったので残念!(カンヌは「カンヌ映画祭」の会場があるぐらいだが、ニースは美術館があったり、見どころ多い上に、みのむちくんは「エズ村」に行きたかったらしいがかなわず。。とてもきれいな村なのに!!)


出発10日前

今週より、会社で「いかなる理由があっても、中国への渡航は禁止」となった。(中国での反日デモのためである。)
そこで、総務部長が私のデスクにやってきて、「みのこさん、9月末から休みの届けがでてるけど、どこか行くの?まさか中国じゃないよね?」と言われ、「もちろんです。もし仮に行き先が中国だったとしても変更してますよ。危ないですし。」と答えると、「そうだよね。一応聞いてみただけなんだけど。」と言われた。(こんな事態でなくても、そもそもうちの旅行は、危険で景観が美しくないところには行かないことになっている。)

しかし私の第一声、「そんな好きでない国に、わざわざ休みを取って、行くわけはありません。」と、つい本当のことを言ってしまった。これは感覚の問題で、どうしようもないから仕方がない。

ちなみに欧州危機のスペイン(今回はバルセロナから出航)と、今の状況の中国、どっちが危ないか?と言われたら、日本人としてみたら、まちがいなく中国だろう。もし仮に(寄港地が)危険な状況にあるなら、ロイヤルカリビアンから何らか通達(ルート変更とか)が来ると思うし。(とまあ、一応、気にする。)

もちろん!「海外旅行中は気を抜くな。」といつもと変わらないスタンスを貫くつもりだが。


出発1週間前

会社から帰宅すると、「みのむちくん、大変な病気になっちゃったよ!」と、またいきなり病気の話に戻ることになる。今日は仕事が休みで病院に行ったらしく、「おそらくメニエール病でしょう。」と言われたらしい。

メニエール病はめまいと難聴が主な症状で、「厄介な病気」(難病にも指定されている)とは知っていたが、みのむちくんのお姉さんが甲状腺がんの手術、同僚は卵巣がん、友人は乳がんの転移発覚…という大変な状況。それに、私の仕事関係の知り合いでも2人メニエール病の人がいて、普通に生活して働いてるし、早期の段階でちゃんと治療すれば、完治も望めると知っていたから、さほど驚かなかった。

しかし、驚いたのは薬の量!
ええええ〜〜?!これが8日分?!
と思うぐらい大量で、かなり強いステロイド剤が処方されていた。

私には散々「薬なんかに頼るな。」と言ったくせに。(私は1年に1回か2回ぐらい、風邪をこじらせて気管支炎になったりする。しかしそれは、抗生物質を服用しないと絶対治らず、放置するとさらに悪化するというのに服用するなと言う。男性は「人の身になって考えること」が苦手らしい。)

「副作用を気にしてもしょうがないですから。(副作用はどうやっても出るらしい。)」と薬剤師に言われるほどの最強のステロイド剤を処方されるとはなんとまあ。。何たる皮肉。。

そして厄介なことに、この大量の薬を抱えて旅行に出ることとなる。ちなみに難病センターのHPを見ると、「とにかく病気を早く発見して、治療を始めることが肝心。」とあった。(結局、この治療が項を労したのか?それ以降症状は出なくなったらしい。「なんちゃってメニエールだろうか?」と思うが、未だうちには大量の薬が余っている。)


出発2日前

準備はほとんど終わってるが、本当に目まぐるしくて、明後日から旅行に行く実感はまるでなし。おまけに寄港都市が多すぎて(全6都市)、ほとんど予習は出来ていない。ただし、どこも行ったことある国で、バルセロナ2回目、ローマ3回目の訪問なだけマシか?

ちなみに、スーツケースが「どのぐらいの重量になったのだろう?」と計ったら15キロ弱だった。まだまだ余裕だ。そのわりには、スペースに余裕がないのは「軽くてかさ張るもの」が多いのか?クルーズライフには、フォーマルドレスも必要だったりして、それに合わせて靴もバッグも…と必然的に荷物が多くなる。そして通常の旅行より荷物が多いのは、日中の服装は自由だが、夕方以降は日によって、カジュアル、スマートカジュアル、フォーマルと、日替わりでドレスコードが指定されているからである。

まあ、カジュアル船なので、そんなに大げさなものではなく、スマートカジュアルはちょっとおしゃれ目な格好、フォーマルは結婚式の二次会(男性ならビジネススーツ)と言う感じか?もちろん、強制ではないのだけど、例えばフォーマルの日に「デニムとTシャツ」だと、メインダイニングやその他のレストランには入りにくい。こういうことを「イベント」と思って参加するのがクルーズの醍醐味かと思うし。何だかんだで準備は夜中の2時までかかった。

船のメインダイニング 船内で提供されるデザート


出発前日

朝、予定通り、空港宅配サービスがスーツケースを引取りにきた。これでやれやれである。

そして会社に行くと、「これもやっておかないと!」と色んなことを思い出し、やってもやっても終わらない感…。まだ仕事はあったが、咳止めの薬をもらいに病院にも行った。ほぼ治ってるけど、明日の夜には出発するし。

それで少し時間に余裕ができて、寄港地のことを調べてみた。(未だかつて、こんなに下調べできなかったことがあるだろうか…?汗)だがいくら調べても、「トゥーロンは軍港」という以外、大した情報はない。イタリアはこれで3度目だから、なんとなくわかる。バルセロナについて調べて、あとは「野となれ、山となれ」だった。(なんと適当な。。苦笑)

家に帰って、ご飯を食べて、台所を片付けて、洗濯して、準備の続きをしたら、時刻は夜中の1時30分すぎ。私にしては早いほうだが、連日寝不足なせいか、すぐに眠りについた。今回もいつも通り旅行前はバタバタだが、年々体力が少しづつ落ちている感は否めない。