1.術前検査・前編(2013年11月19日)

今日は術前検査の日。9時にまでにT大病院に行かなければいけない。
もっとも…最近の私の体調では目覚ましを2つかけても、全然起きられないのに、遅刻せずに行けるか?と言うことが、まず心配だったりするが…。

時間通りには起きられた。。。
しかし…最寄り駅につくとなんと!電車が止まっている!
えええ〜〜?!こんな時に限って人身事故〜〜?!ガ━━━━Σ(゚Д゚;)━━━━ン!!

もちろん病院には電話を入れた。「今日、来られますか?」と言われたが、もちろん行きますとも!(今日、行かなかったら21日の麻酔科外来受診もキャンセルすることになり、後々のスケジュールにものすごくひびく。)

しかし、ようやく復旧した電車も、こんな日に限ってなかなか進まず。。。ひと駅進むのにいつもの倍以上かかって、電車を降りて、まず私が飛び込んだのは駅のトイレだった。(電車に長時間乗っている間に、腹具合が悪くなってしまった。汗)

「もうタクシーに乗ろう。」と思ったが、タクシー乗り場もまた長蛇の列。こんなの待ってなどいられない!

結局到着したのは10時15分すぎだった。しかし、今日はM先生の9時の予約の他に、K先生の10時30分の外来予約が入ってるせいか?受付機は何の問題もなく通った。(以前、大遅刻した際、予約有効時間は1時間以内だったと記憶していたため。)

そして婦人科外来の受付で、「遅くなりまして申し訳ありません。」と言ったが、特に気にならない様子。(診察はいつも時間通りに行った試しがなく、遅れがちだからか?)

そして、「診察前に血圧を測ってください。慌てて来られたので、今は高いでしょうから落ち着いてから。」と言われて計ると、なんと「最高172・最低95」。脈拍数は116。(正常値は最高140未満、最低90未満。脈拍は50〜100程度)

自分では落ち着いたつもりが、全然落ち着いていないらしい……。( ̄▽ ̄;)

「これは出せないな。」と思い、計りなおして「最高141・最低81」。これでもまだ高いのだが、まあいいかと思った。しかし脈拍数はあまり変らず113。私の平常値(60前後)の倍近くの数値だった。

そして、順番が来て、「大変遅くなってすいません。」と言うと、M先生は「いやぁ、今日はこれからあちこち回ってもらうのに、大変だなと思って。」と相変わらずほややーんとした口調。ホッとする。。。^^;

「朝、自宅で計った時は、これより20低かったです。」と言って血圧の結果表を渡すと、「慌てて来たからねぇ。」と。おまけに「脈拍はいつもの倍近いです。^^;どうも病院に行くと上がってしまうのです。」と言うと、「そういう人は多いんだけどね。あなたと同じぐらいの脈拍の人がいたんだけど、自宅では190なんだって。」

私「えっ?!190ですか?!(驚)」

「“病院に来ると安心するから(だから脈拍が下がると言う意味)”って言ってたんだけど、(こういう人も)珍しいよね。(^^)」と、私がすごく遅れたのをとても気にしているのを察して、どこまでもフォローしてくれる優しい先生である。

思わず「白衣を見ると、血圧が上がってしまうのです。」とばらしてしまうと「白衣性高血圧ってあるからね。」と。

「今日は渡す書類があるから…ちょっと待ってね。」と言って、M先生はパソコンを打ち始め、A4の書類を何枚もプリントアウトしていた。どうやら今日、これから、手術の説明をするつもりらしい。

しかしそこに、「自己血輸血のご説明」と言う書類があり、「え?!貯血(自分の血を貯めておくこと)するの?かんべんしてよ〜〜体調悪いのに。」と思った。

そして、デスクの上に「手術承諾書」を出して、M先生は説明を始めた。

「手術の内容なんですが、診断は子宮筋腫。手術は腹腔鏡下子宮筋腫核出術。子宮筋腫を取る手術…で、間違いないね。麻酔は全身麻酔になります。

(所要)時間は…(私のMRI写真を見て)90分ぐらい僕が頑張るのかなぁ…。前後(麻酔をかける時間等)を入れたら120分ぐらいかな。それでこれが治療計画表なんだけど…。」
と言って、出されたのはいわゆる「クリニカルパス」(診療スケジュール表)と言うものだろう。「T大病院のHPに載せているものですか?」と聞くと、「うん。ほとんど変ってないと思うよ。」と。

「まず12月8日に入院だよね。翌日の手術の順番は、まだ決まっていません。」と言われて、「きっと前の週の金曜日あたりに決めるんだろうな。」と勝手に想像した。「で、手術後は点滴があります、酸素吸入を行います。」とか「手術翌日はとにかく、歩け歩けと言われるの。」等々、入院1週間の流れをざっと説明された。

さらに、手術承諾書に戻り…
まず1番目「手術に際して使用する薬剤等に関してのアレルギーショックは、対応する薬物の投与によって対応します。」と言うことに対して「これから色んなところでアレルギーのこと聞かれると思うけどさ、起きないように努力します。」と。

「二番目のこれ“大血管損傷などによっておこる多量出血及び、それによって起きるショック等が起きた場合…輸液や抗ショック療法、あるいは輸血や血液製剤などの投与を行います。”ってあるけど、(今回の手術では)大きな血管、触る予定ないから。」と書類に「×印」をされた。

そして次の項目、「他臓器損傷、つまり腸管や膀胱、尿管など、手術目的以外の臓器損傷を起こした場合、修復の為の手術が必要になることもあります。また手術の際には気付かず、術後時間が経過した後、確認された場合も同様です。」とあるのを見て、
私が「子宮の周りにある臓器だからですか?」と言うと「いくらさあ、子宮の周りにあるからって、傷つけるわけないじゃない。」と言われた。

さらに「手術中は充分な止血を行いますが、術後に創部(手術で出来た傷のこと)から出血が起きる可能性もあり、その場合、再手術が必要になります。」と言う項目に関しても、「血がダラダラ出てるのに、“そのまま手術終わります”ってことはないからさ。」と。

これはやんわりと、「私、失敗しないので。」と言われているようなもの。
腹腔鏡手術の事故の多くは上記(特に他臓器損傷)にあることを知っている。それをキッパリ「そんなことするわけないじゃない。」と言えるのは、M先生だからだと思った。

そして「血栓塞栓症って、聞いたことあるかなぁ?」と言われて、「エコノミー症候群のことですか?」と言うと、「そうそう。」と。「血栓塞栓症と術後腸閉塞の2つに関しては、患者さんの努力で防ぐことができるのね。ちょっと足を動かしてるだけでも違うの。(だから、術後は動くようにしてね。」と。)

そんな感じで、それぞれの項目ごとに、非常に分かりやすく、とても丁寧な説明を付け加えて、話してくださるのはとてもありがたい。これでも省略して書いているほう。)

とてもありがたいのだけど、今日の私は、すでに病院に行くだけで、エネルギーの半分以上を消耗してしまっている。^^;しかもこんなに色々説明されるとは思ってもおらず、ちょっと気を許すと朦朧となってしまい、どこかに行ってしまいそうになる意識を、必死で押しとどめていた。

しかし、この「手術承諾書」と言うのは、気の弱い人なら「手術やめます。」と言ってしまいたくなるほどの、「手術を受ける患者にとって、とても恐ろしい話満載の文書」であることを、同僚に指摘されるまで私は全く気付いていなかった!

それはM先生があまりにニコニコしながら、いつもの口調で話すから、全く全然、大変なことのように感じなかったらしい。素で平然と「術後の合併症って、何ですか〜?( V∇V)」と聞いてしまった!(←ばか?笑)

ちなみに、T大病院では手術の際、お腹に炭酸ガスを注入して、視野を広げる方法で行う。腹腔鏡手術特有の合併症として、その炭酸ガスがまれに血液内に入り込んで、塞栓状態を引き起こすことがあるらしい。

「この炭酸ガスは身体にも馴染みやすく、普通は自然に外に抜けていくものだけど、そうならないように、パンパンに膨らませないようにするってことだよね。今までで1件だけありました。他はないけどね。(「他に重篤な合併症が起きたことがない」という意味。)」と言われてもだ。

それにずっと私の目を見て話されるので、「書類ばかり見ていては失礼だ。」と先生の顔を見ていたものだから、承諾書の内容があまり目に入ってない…というのもある。

術後感染について
「術創部より雑菌の進入によって、創部及び腹腔内に術後感染を起こすことがあります。抗生物質で予防していますが、予防しきれないこともあり、創部の離開による再縫合、場合によっては再手術により、腹腔内の洗浄が必要になります。」と言う項目に関しても「これはそうならないよう、消毒をしますと。」というひと言で片付けられた。

とにかく、「まるで“よくわかる子宮筋腫の腹腔鏡手術“という市民講座を聞いてる気分だった。」と言うと、「(怖い思いをせずに)それはよかったね。」と言われた。(そして、基本的に「手術の説明」は、執刀医が行うものらしい。当然のことながら、書類にはM先生の捺印がされていた。)

さらに「自己血輸血」に関しては、「先ほども話したように、大出血は想定していません。」と。
資料を見ると、輸血には大まか3通りあるらしい。いわゆる献血による他人からの輸血。そして、自分の血をためておく貯血式自己血輸血希釈式自己血輸血、さらに回収式自己血輸血があり、私の場合は回収式にするらしい。

つまり出血した血液を貯めて置いて、また体内に戻すこと。後から「なんてエコなんだ!」と感心してしまった。

「今説明してるのは、実際やるのは手術中だからね。」
「私の意識がないからですか?」と言うと「あなたが寝てるから。こういうことがあると知っておいて。」

己血を貯める必要がないと知り、思わず「あ、そうしていただけると助かります。。今、しんどくてしょうがないので…。(+_+)」と言うとまた「年寄りにしているからねぇ。。」と言われた。

もしも今日、「貯血する。」なんていわれたら、絶対に断って後日にしただろう。(もし400mlなんて採血されたら、今の私だと3時間ぐらい休まないと、仕事どころか、自宅にすら帰れない。)

そして、「言うなら今だ。」と思い、「今、困っているのは、とにかく寝つきが悪くて、なかなか寝られないし、寝たと思ってもすぐに起きてしまいます。と思ったら、朝起きられないぐらい寝起きが悪い時もあり、日常生活に支障をきたしています。体調も今一歩なのもそのせいかと。。」と言うと、電子カルテに「不眠症」と書かれた。

M先生「僕に何がしてあげられるだろうか…?」
(「何もできないよ。」と言うのではなく、「どうしてほしい?」と言うニュアンス)

私「ともかく、寝られるようになれば、ちょっとは改善するんじゃないかと。。」

M先生「そうだね。睡眠導入剤は色々あるけど、何がいい?」

私「普段もそんなに寝つきもよくないですけど、(そこまでひどくないから)のんだことないんです。あまりよくないのかもしれませんが、今までは緊張型頭痛の薬として処方されていたデパスをのんでいたのですが、それも効かなくなってしまいました。」

M先生「じゃあ、僕ものんだことある薬を出します。こういう薬は“癖になるから。”と気にする人がいるけども、この薬は最新版で、中毒性はないんだよね。(確かに発売は2012年と新しい薬だった)ただ口の中が苦くなるんだけど。それが唯一の副作用かな?」

処方されたのは、ルネスタという睡眠導入剤で30日分。思わず「入院して、退院するまでありますね。」と言うと、「この薬、気に入ったら、また入院中にもらってそのまま持って帰ってよ。」と。八百屋の果物じゃないんだから。。笑

「“苦い”って言っても、ひとそれぞれで耐えられないというのもあるし。」と、「いえいえ、今までの薬に比べたら、苦いぐらい大した問題ではないですよ。」と心の中で思ったが、とことんM先生は気遣いの医師だなあと思った。

それにしても。。M先生も「高血圧、頭痛、肩こり」で、しかも眠れないこともあるのかと。そういえば…男性の更年期障害も同じような症状が出ると言うし、この不具合と闘いながら、いつも同じテンションで患者さん診てるってすごいなとふと思った。

さらに今回は子宮がんの検診(細胞診)も行ったが、介助の看護師さんに「今日は電車が遅れて大変でしたね。」と言われ、思わず「いつもの倍以上時間がかかってしまいました〜。」と。

そして筋腫の状況だが、「随分、こぢんまりとしたね。」と言われた。確かに頻尿がなくなっただけのことはある。「とてもいい状態だね。このまま手術したいぐらいだよ。」と。「いやいや、“今から手術する”と言われても“ええええ〜?!”って感じだけど。」と思ったが、やはりリュープリンの効果は充分あったらしい。

「握りこぶしよりひと回りぐらい小さい。」と言われたから、おそらく2まわりぐらい小さくなったのだろう。(超音波検査ではなかったから、大体の感覚で言われてるのだと、後から気付いた。)

私が「こんなに苦労したんだから、そのぐらいの効果がないとショックだ。」と思ってるのを分かってか?「でも、(そのために、私が)不眠症にまでなっちゃったぐらいだからねぇ。ごめんなさいねぇ。」と言われた。

「手術のために患者に大きな負担を強いている。」ということを十二分に分かっておられるのだと思った。