3.人生初の婦人科来院(8月22日)

この日、いつもより早くウチを出た私は、Iクリニックに向かった。 山手線・主要駅から徒歩数分の距離だから、雑居ビルの中にあるのかと思いきや…、意外にも普通の住宅街の中にあった。「ちょっと失敗したかなぁ?」と思いつつ、クリニックの扉を開ける。

そして、どこでもそうだと思うが、新患なので問診票に記入する。来院の理由は、該当する項目がないので、「定期検診で、子宮筋腫があると言われました」と書く。

診察を待ってる間も緊張感は高まるばかり…。何度、このまま帰ってし まおうかと思ったか分からない。(苦笑)まだここのアットホームな雰囲気に救われたが…。

そして、1時間が過ぎた頃… 「みのこさま、第一診察室へお入り下さい」と言われる。

恐る恐る診察室に入って、医師の顔を見た瞬間、私は「ゲッ!!」と思う。このIクリニックのS先生だが、インターネットに載っていた写真よりもさらに若い!!

どんなに見積もっても30代後半、ヘタすれば私より若そうである。「こんな若い医師で、正しい診断が出来るのだろうか?」と心の中で思う。

S先生は、私がそんなことを考えているとは、全く思っておらず(当たり前だ!笑)、友達のような軽い口調で私に言った。

S先生「子宮ガンの検査はしてるみたいなので、筋腫の検査だけしよっか?」

この時、私は緊張のピークで、「好きにしてくれ」って感じだった。どういう検査かよく分からなかったが、とりあえず診察台に上がる。そして、「今、超音波をとってますから。」と言われる。

私(これって、超音波なんだ〜!!)

超音波と言えば、腹部からしか知らない私には、ちょっと驚き。(経膣的超音波検査というらしい。)これが開発されたおかげで、超音波でも1センチの大きさの筋腫から発見されるようになったらしい。

S先生「生理の時に、レバーみたいな血の塊が出たことはないですか?」

私「う〜〜ん、ないです。」

レバーのような塊を想像できないぐらいだから、本当にないのだと思う。 そして再び、診察室に戻ると、S先生は子宮のイラストに印を付けながら、私に説明した。

S先生「子宮の上に5センチのものが1つと、子宮筋の中に2.7センチのものが1つあります。この位置だと悪さはしないので、全く自覚症状は出ないはずです。

(ゲゲッ!2つもあるのか?!)

ただ、子宮筋腫は多発性と聞いていたので、そんなにショックは受けなかった。さらにS先生は、私に問いかける。

S先生「ご結婚されてますか?」

私「はい。」

S先生「妊娠は?」

「してないです。」

S先生の言い方も悪いが、私の答えも大ボケである。(苦笑)今、子宮内部を調べたのだから、妊娠してるかどうかは、私よりよく知ってるはずである。

「妊娠希望ですか?」
と尋ねたのであって、「妊娠してるか?」なんて聞くはずがない。(笑)

それについては、まだ迷っているのだが、説明するのがめんどくさくなって「はい。」と答える。

S先生「今後、妊娠・出産を考えるのなら、取った方が妊娠しやすくなるし、(妊娠、出産時の)安全性も高くなります。大きさ的にも充分、手術適応範囲です。」

私「それは、手術して取るということですか?」

S先生筋腫だけをね。」

S先生は、私が「子宮全摘」と勘違いしてると思ったらしく、念を押すように答えた。でも、それだったら、妊娠云々の話なんて、しないじゃないか!と後で思う。(笑)

S先生「この大きさだと、開腹しないやり方でも取れます。お腹に1センチぐらいの穴を3つ開けて、内視鏡で見ながら、筋腫を削り取っていくんです。(これが腹腔鏡手術ということを、後で知る。)

これ(5センチ)は大きいですけどね、簡単にとれます。こっち(2.5センチ)は、ちょっと難しいかもしれないけど。ただこのやり方は、どこの病院でも出来るわけではないので、もし手術を希望されるのでしたら、病院を紹介します。」

さらにS先生はこんなことも付け加える。

S先生「手術するまでに、ホルモン治療と言って、2〜3ヶ月ぐらい注射を打って、筋腫を小さくしてから取る場合もあります。その方が手術の安全性が高くなりますので。やるやらないは、病院の方針によって違いますが。」

私(リュープリンとか、副作用が強いというウワサのホルモン治療か〜。やだな。)

S先生「だんなさんともよく相談して、また来てください。もし、このまましばらく様子を見たいのなら、3ヵ月後にまた検診に来て下さい。」

なんか、ほとんど自分の想像通りのことを言われたので、特にショックはなかった。手術のことは、子宮筋腫を告知された時から頭にあったので、「やっぱりな。」って感じである。それまで、開腹手術しか出来ないと思ってたので、開腹せずに出来る方法があると聞いて、一気に気持ちがラクになった。

「前回の定期検診で異常なしと言われたんですけど、1年で出来るものなんですか?」

S先生「内診だけだと、かなり大きくならないと分からないです。だから、いつ出来たか分かりません。」

私(1年で出来たわけじゃないんだ。ホッ。)

これから、婦人科検診を受けようという人には、不安を覚える話かもしれないが、私はかなり安心した。それまで私は、1年でガチョウ卵大のものが出来たと思いこんでいたからだ。

(みのむちくんには「そんな早いスピードで出来るなんて、悪性腫瘍じゃん!」と指摘されたが。苦笑) だから、そんなに急いで手術する必要もないと思ったので、「相談してからまた来ます。」と診察室を出た。

S先生の診断だが、かなり妥当だと思うし、納得いく説明をしてくれたと思う。文章だと、かなりそっけなく見えるが、私の不安な気持ちをよく見抜いてると思う。

婦人科は初めてなので、よく分からないが、いい先生の部類だと思った。しかも、S先生の態度からすると、悪性とかガンの併発の心配をしているのは、どうも私だけらしい。(苦笑)

そして、筋腫が2つあったのにはちょっと驚いたが、私が次に恐れていた「子宮全摘」なんて話は、ちっとも出なかった。S先生を「大丈夫かな?この人…。」なんて思って、申し訳ないと思った。(笑)

そんなわけで、かなりスッキリした気分になって、Iクリニックを出た。

勇気を出して病院に行って、本当によかったと思う。