12.手術前のひと区切り

海外旅行から帰ってきて、2、3日後の9月末。とうとう所属部長に、「12月に手術をしなくてはいけなくなった。」と話した。

それで「どのぐらい休養が必要か?」と言う話で、「先生には“入院1週間。退院後、1週間休んで、もう1週間も休めば完全復帰できる。”と言われたけど、年末なので事務処理のために【退院後2週間】を待たずに出社しようかと思ってます。」と話した。(「ただし、術中に開腹手術に移行する可能性が、ほとんどないと思うがゼロではない。その場合は退院が延びます。」とも付け足した。)

すると「絶対出社しないといけないって思うとしんどくない?術後の体調がどうなるか分からないなら、12月いっぱい休めば?」と言われた。なぜなら、私の部署は裁量労働制。仕事の内容によって自由にできる反面、どんなに調子が悪くても出社することもあり、「今日は具合が悪いから休みます。」が出来ないこともある。だから、「休めるときは休め」とばかりに、ありがたく休むことにした。有給もいっぱい余ってるし。

さらに、「(手術は体力がいると言うから)病気に負けずに体力つけて頑張れ。」と言われたが、私的には「頑張るのは先生だ。」と思いながら、むしろリュープリンの副作用と闘っている「今の方が頑張ってるなぁ。」と思った。


そのリュープリンの副作用だが、初回は翌日から現れたが、2回目の今回は別に何も変らない。ただ今日は涼しかったはずなのに、(多分)私だけ暑い。だけど、いつでもどこでも暑いわけではなく、波があり、しかも「顔は暑いけど手は氷のように冷たい。」という、まるで酒に酔っ払った時と同じ状況。

退社する頃にはやたら寒く感じ、帰宅すると「風邪ひいたんじゃないか?」と思うぐらいまで悪化し、ろくに晩御飯も食べず、毛布にくるまって力尽きて寝てしまった。全く。。暑くなったり、寒くなったりかなわん。だけど、帰国後の1週間を何とか乗りきれてよかった。


10月に入り、今度は総務部長にも12月に休むことを話した。
さらにいつも一緒に仕事をしている社外の人たちにも話し、また「ひと区切り」がついて、ホッとした。
あまり早々に言っても心配かけるし、これでも一応「プロフェッショナル」のつもりだから、体調不良を仕事の言い訳にしたくない。

話は逸れるが…私の手術が「7ヶ月待ち」なのを「(私の)仕事が忙しかったからですか?」と言った人がいたが。。それは私のことを買いかふりすぎ!(本来の理由は、T大病院にはそれだけ順番を待っている患者が多いということ。)

「自分の病気より仕事を優先する」なんて、私はバカバカしいと思う。(他の人が同じ状況にあっても「自分の身体を優先すべきだ。」と私は言う。)

なぜなら、救急車を呼ぶような重体になるまで仕事して、3年間入退院を繰り返した人を私は知っている。そんな状態になっても、しんどいのは自分だし、会社が身体を治してくれるわけじゃなく、会社が出来ることが少ないことも知っている。

そして実は、仕事より、自分の身体(病気)のことと向きあうこと」の方が、ずっと大変なのだと言うことも知っている。私の亡き父がまさにそうで、「仕事が忙しい」は、「現実と向き合いたくない。(手術したくない)」の言い訳に過ぎない。…と私は思う。(自営やフリーランスはまた別かもしれないけど。)


しかし驚きなのは、私の12月の仕事の状況。
まったくの偶然だが、都合よくぽっかりと空いていて「まるで、みのこさんが休むためのスケジュールみたい。」と言われた。

これは「私の意志」と言うよりも、「ここ(12月)でやろうと思ってるんだけど。」と言った先生の方がずっと強いからだと思った。

あくまで「たら、れば」の話だが、もしも昨年(2012年)、手術を勧められたら、どんなに先生に強く言われても「今は考えられない。」と、私は拒否しただろう。

医師の常套文句「あなたの身体とどっちが大事なの?」と言われても、きっと私は「相続問題」と答える

そのぐらい去年の相続問題は大変なものだった。

昨年の2月、10年間1度も会っていなかった母が突然亡くなった。母は最後まで母らしく…。お金のためなら、平然と約束を破り、人の信頼どころか、家族すら平気で裏切るような人だった。だから断絶していたのだが、私と妹の知らない10年間が発覚するたびに、行き場のない怒りを感じ、私の心には青い炎が燃えていた。

だが母の債務は、法定相続人である私と妹に大きくのしかかる。しかもそれには色んな問題が絡み合い、契約を結んだベテランの弁護士さんにさえ「これは稀に見る難解な事件で、訴訟並みの大変さ」と言われるほど。人生最大のピンチだと思った。これを解決しないと、手術どころか、今、手術のために行ってるリュープリン投与(保険が利いても1ヶ月約1万円×3回)も金銭的な問題で躊躇しただろう。

やはり物事には、タイミングと言うものがあるのだと思った。