4.T大病院、再び…(4月16日)

今回は、朝会社に行っても、特にやることもなかったので、直接T大病院へと向かった。

相変わらず「うひゃぁ〜。」というような混雑ぶりで、しかも予約時間より、10分ほど遅れてしまった私は、1時間待ちを覚悟した。(もちろん相変わらず、緊張しながら…である。笑)

だが、婦人科は思ったより混んでおらず、30分が経過した頃、いきなり「みのこさん、4番にお入り下さい。」というアナウンスが流れる。前回(大学病院、再来院)もそうだが、T大病院は担当医によるアナウンスで、各診察室に入るのだ。

これまた前回と同じく、大きな部屋をパーテーションで、10箇所以上区切って作った、多分内診台を入れても、畳3帖分ぐらいしかない狭い診察室に入る。

M先生は相変わらず、のほほんとした口調で、私にこう言った。

M先生「(S先生の紹介状を見ながら)『今後の治療方針を検討されたし。』って書いてあるんだよね〜。」

M先生は、また前回と同じく、パソコンの画面に去年の9月に撮影したMRIの画像を出した。

(え?…この間、治療方針は決めたんじゃないの?!)

私は一瞬「??」と思ったが、とりあえずM先生の話を聞くことにした。

M先生「放射線部の先生の話だと、(筋腫が)3、4個あるらしいんだよね。ここに、4センチぐらいと、あと3センチぐらい…、ここ(1.5センチのもの)にもあるけど…、主にこの2つだね。」

M先生は、いくつか撮影した画像の中から、分かりやすいものを出して、私に説明をする。それは、この体験記にも書いたぐらいだから、私の方がよく覚えてる。(笑)

だがT大病院は、患者数が多い上に、私は半年ぶりの患者、M先生自身も画像を見ることで、私の筋腫がどういう状態であったか思い出してるのだろう。

(ちなみに下の画像は、私のMRIの画像をイラスト化したもので、が筋腫です。)

私の筋腫 M先生「この筋腫(4センチ)は、しょう膜下筋腫って言うんです。」

それも、HPにもバンバン書いているので、よく知っているが黙って聞いていた。

M先生は、とても細かく説明してくれるので、とりあえず何でも聞いておきたい。

そして今回は、前回ほど緊張していないので、私は改めて自分の画像をまじまじと見つめた。

その時私は、前回かなり自分が冷静でなかったことに気付いた。

前回書いたとおり、私の子宮は筋腫による圧迫もなく、特にへしゃげていなかったが、子宮後屈だと思いこんでいたのは間違いで、ごく普通に(上記のイラスト通りに)存在していた。

最初は「その話(MRI検査の結果)は分かってるから、もういいよ〜!!」とも思ったが、前回より画像を冷静な目で見れて、自分の間違いにも気付いたからよかったかも?(笑)

だが、「これがお腹で、この空洞になっているのはおヘソで…」と、MRI画像の見かたを説明されたとき、思わずお腹の部分に目が行って、

「うひゃ〜〜〜、最悪!!」と脂肪の厚さに、筋腫以上のショックを受けたが。(苦笑)

M先生「…で、最近はどうですか?」

「相変わらずです〜。」

この「相変わらず」というのは、「相変わらず、無自覚・無症状です。」という意味だが、まるで「症状が出ないといけないのでは?」みたいなニュアンスで取られ、M先生は笑っていた。

確かに普通、病院というところは、何らかの症状があって来るものだ。(^_^;)

M先生「いや、いいんですよ。(笑)症状がないのは、いいことですからね。(笑)」

私「MRIの画像を見せられなければ、今でも(筋腫があることが)信じられないぐらいです。」

ここで私は、S先生が言ったこと(「Iクリニック再び」をご覧下さい。)を思い出し、M先生に伝える。

私「2月に、IクリニックのS先生のところに行って、M先生の診断結果を伝えたら、『本当に手術は必要ないと言われましたか?』と言われたんですが…。」

M先生「まあ、検査して見つかったからと言って、何でも取ればいいってもんでもないからね。」

なんか、ちょっとかわされた気がする。 そして、M先生は放射線科のドクターの所見を書いたレポートのようなものをプリントアウトし、私のカルテに挟んだ。一瞬、「またMRI検査するの?」と思ったが、そうではないらしい。

M先生「取りあえず、超音波で診てみましょうか?」

…というわけで、せま〜い診察室の隣にある、内診台に上がる。 前回は、自分で上らないといけないタイプだったが、今回のは自動的に高さを調節出来るようになっていた。進化したのか?

そして、M先生は相変わらず、「ごめんね。」と一声かけて検査を始める。 またもや経膣的超音波検査で、「体の力を抜いてくださいね。」と言われるが、私はちょっと不愉快なだけで、痛くも痒くもない。

(一般的に「経膣的超音波検査」は性交経験がないと、痛い検査らしいです。だから、性交経験がない人が、婦人科を受診する際には、必ず申告した方がよいらしい。ちょっと、言いにくいと思いますが。(^_^;))

M先生「うん、大きさはほとんど変わってないね。相変わらず5センチと、3センチ近い大きさだよ。」

「え?!そうなんですか?!」

ちなみに前回(去年の9月12日)、超音波検査を受けたときの大きさは、5センチと2.5センチ。(MRIと超音波検査では、精密度が違うので、同じ時期にとっても、検査結果は微妙に変わります。)

半年ぶりとは言え、正確には7ヶ月前だから、結構な時間が経過している

あまり大きくなってないどころか、成長していない…?!

もちろん、超音波だから、5ミリぐらいの誤差はあるだろうが、これにはちょっと驚いた。

M先生「ああ!これじゃあ、症状は出ないよ!子宮の内部(内膜)はキレイですよ。」

M先生は「まるで、症状が出ないといけないみたいな言い方をしてしまった!」と思ったらしく、笑いながら「いや、(症状が出ない方が)いいんですよ。(笑)」と付け足す。

どうもM先生も私も、症状がない状況での診察に慣れていない。(笑)

私「あはははは!」

M先生につられて、思わず私も笑ってしまった。この状況(内診台で検査中)で、私が笑いながら話が出来るのはM先生ぐらいだ。

再び、パソコンのある机の前に戻ると、M先生は超音波の画像(4カット)を見せて、図を書きながら私に説明をした。

M先生「この筋腫(3センチ)なんだけどね、この角度で撮ると見えないんだけど、この位置だと見えるんだよね。」

超音波の画像はいくら説明されても、素人の私には「何が何だかさっぱり…。」だが。(笑)

M先生「この図で見ると、子宮の真ん中にデン!とある感じに見えるだろうけど、実際は子宮内膜より外側っぽいんだよね。」

他の3つはしょう膜下筋腫だが、この筋腫(3センチ)だけは筋層内か、しょう膜下か微妙なところである。 ただ、M先生によると、私が相変わらず「無自覚・無症状」なのは、この筋腫が子宮内膜にあまり影響のないところにあるのが、関係しているらしい。

そして、M先生はカルテに、超音波の画像を糊付けしながら、前回と同じようなことを言った。

M先生「あなたが、(子宮に)筋腫があるのがイヤで、どうしても取りたいというなら別ですけど、そうじゃなかったら、特に取る必要があると思わないんだよね。」

私も同感だが、ここでふと、またIクリニックのS先生の話をふってみた。

私「IクリニックのS先生は、『まあM先生がそうおっしゃるのなら。(経過観察という診断に、渋々納得した)』と言う感じでしたが。」

M先生「まあ、色んな考え方があるからね。(笑)気になることは人それぞれ違うし。」

どうもM先生は、先生同士の摩擦を避けられているような気がした

確かにS先生とM先生は、同じ大学出身で、しかも師弟関係にあるから、摩擦は起こしたくないだろう。

ただ「他の医師の診察結果を悪く言うのも、場合によってはドクハラになるらしい。」とか、

医師会から「事情があって、転院されてくる患者さんに、他の医師について、批判などをしてはいけません。」という通達があるという話を聞いて、ちょっと納得した。

M先生は、私とS先生の信頼関係がどのぐらいかは全く知らない。だが、もし私がS先生のことをすごく信頼していて、M先生がS先生のことを悪く言った場合、S先生だけでなく、私も傷つけることになると思うのだろう。多分。

それに、今の私の受け持ちは、M先生なのだから、他の医師が何と言おうと、関係ないと思ってるのかもしれない。S先生の見解にしても、考え方が慎重なだけで、別に間違ったことを言ってるわけでもないし。

でも、「手術しない?!なんで??なんで??」という感じのS先生の反応に対し、M先生の対応はすごく大人だぞ!さすが師匠だ。(笑)

M先生「ただ、あなたが不妊で苦しんでいるというなら、話は別です。一般的に言って、あなたの筋腫は、不妊の原因になると思えないんだけど、たまにそういうこともあるからね。

あなたが努力して、どうしても(子供が)出来ないというなら考えますが、そうでなければ我々は、積極的に手術しようとは思いません。

M先生「今すぐ、子供欲しい?」

そう言われて、私が「う〜ん。」とちょっと考えて、「今年ぐらいに…。」と答えると、M先生はなぜか笑っていた。

別に笑うところではないと思うが、「ほら!やっぱり、悩んでいるわけじゃないでしょ?」と思われているのだろう。(^_^;)

確かに、本気で不妊で悩んでいたら、こんな答え方はしないと思う。 私は、特に不妊で悩んでいるわけではない。…と言うより、今まで子供を作る努力もしてないので、不妊かどうかも分からない。(苦笑)

M先生「妊娠中の安全性(流産・早産の可能性)も、絶対とは保証してあげられないけど、一般的には言って、あまり影響あると思えないんだよね。

もちろん、絶対安全に妊娠したいと言うなら、取ってもいいけど。

手術どころか、注射1本でさえ憂鬱な私が、そこまで言われて手術なんかするわけがない!!

でも、もし私が「どうしても取りたいです!」と言ったら、手術をするんだろうか?

いくら医療がサービス業化してるとは言え、それはサービス過剰だぞ!(笑)

まあ、あくまで私の意志を尊重して、そう言ってるのだろうが、S先生の心配していた「妊娠中の安全性」についても、M先生の見解を聞くと、ますます手術しようという気にはならない。

その程度の危険性なら、例え筋腫がなくてもあると思う。


私「私は、もし子供ができなくても、積極的に治療しようとは思っていません。(不妊治療を含む)

やらなくていい手術なら、絶対にやりたくないです!

またまた、体験記の中でしか書いてなかった本音を、つい言ってしまった!(笑)すると、M先生はにこやかにこう答えた。

M先生「その考えは、別に変ではないですよ。特にあなたが変わってるわけではないから、気にしない下さいね。」

M先生は、おそらく私に気を使って、そう言ってくれたのだろうが、私はそんなこと、全然思っていない!(笑) それどころか思わず、

いいえ!別に変だと思ってないです!私はビビラー体質なので、手術どころか、白衣を見ただけで脈拍が上がるんです〜〜!

だから、手術はやりたくありません!

それに、世の中には『ビビラーリンク』が出来そうなぐらいビビラーが多いのですから、自分だけが変わってるとは思えません!」 と言いそうになった。(笑)

それとも、患者の中には「妊娠中の安全性を、絶対的なものにしないなんて、私は母親になる資格がないのかも…。」と、自分を責めてしまう人がいるんだろうか?

私「でも誰だって、出来れば手術はしたくないと思うのですが。(苦笑)」

M先生「いや…(苦笑)、あなたよりもっと小さくて、手術の必要のない筋腫でも、取ってくれという人がいるんですよ。

逆に、すごく大きな筋腫を持ってて、『取った方がいいですよ。』と言っても、『死なないんだったら、絶対手術したくない。』って言う人もいますしねぇ。(笑)」

一見笑い話のように聞こえるが、両者どちらの気持ちもよく分かる。T大病院に来るまでの私の気持ちは、前者に近かった。

だが前回、M先生の話を聞いて、「子宮筋腫は、あること自体には何ら問題はない。しんどい症状が起きたり、何か弊害がある時に、問題になるのだ。

だから、単にあるからと言って、何でもかんでも手術して、取ってしまえばいいというものではない。」
という考えに変わった。

私の場合、「自覚症状が全くない」「何も困っていることがない」「妊娠にもさして影響もない」とくれば、手術するメリットはほとんどないと思う。

余談だが、私は相変わらずお気楽患者で、M先生とのほほんと話している。しかも、診察室も狭いので段々、ここが大学病院ではなく、どこか片田舎の個人病院にいるような錯覚に陥ってきた。(笑)M先生は看護婦さんにも、おっとりとした口調で話しかけてるし。

しかも、今回は前回ほど緊張してないので「M先生は、白髪まじりのせいか、年より老けて見えると思ったけど、意外と若くみえるなぁ。」とか、「T大のパソコンはIBM製か〜。」とか、筋腫とはなにも関係の無いことまで、目がいってしまった。(笑)

M先生「あなたの筋腫は、あまり成長しないタイプのようですね。まあ、生理があるうちは、ゆっくりと成長していくかもしれませんが。」

まさか自分の筋腫が、「成長しないタイプ」だとは思わなかった!

だから 今までの状況に、「成長が遅い」というのが加わって、ますます手術の必要性を感じなくなった。

むしろ、手術することで、再発のリスクが増えるし、かえってデメリットが増えそうだ。(あくまで私の場合であって、全ての人にあてはまるわけではありません。)

私「筋腫って、成長していくのが普通で、成長しない方がまれかと思ってました。

M先生「いや、そんなことないですよ。半々ぐらいかな?

そして、私はまた半年後の10月15日に、診察の予約を入れた。

M先生「…あれ?何だこりゃ?おかしいな。」

M先生は、ディスプレイ上の診察項目に「筋腫チェック」と入れようとしたのが、金主チェック」になってしまい、思わず笑ってしまった。

診察室を出て会計を済ませ、T大病院を出た途端、私はあることを思い出した。

あ!!筋腫ちゃんを誉めてやらんと!!

体験記1の終わりに書いたように、毎日言い聞かせていたわけではないが、居候の分をわきまえて、おとなしくしてたのだしな。(笑)

そんなわけで、私と筋腫の付き合いは、これからもまだまだ続くのだった。